産まれまして
楽しんで頂ければ幸いです。
目覚めるという表現が正しいのだろうか?
これが意思が芽生えるということなのだろう。
彼は不意に宿っていたのだ。
そう、この肉体に。
……って、なんじゃこりゃぁぁぁぁ!?
俺は何で鶏の雛になっているんだ!
いつの間にこんな事になっているんだ。
どこのどいつがこんな事しやがった!?
誰だ出てこい!
いったい何故、何のためにこんな…
俺はいったい何をすればいいんだ…
どうすればいいか教えてくれよ…
ふぅ………
5W1Hを丁寧に叫んじまったぜ
いや、正確には鳴いてただが。
とにかく、一度状況を見て情報を整理しよう。
今俺がいるのはおそらく家畜小屋だろう。
上を見ると限りなく高い天井が見える。
そして正眼には網が張られている。
さらには足元のごわごわする牧草。
うん、家畜小屋だ。
次に後ろに転がる殻。
周りにはたくさんの鶏やその雛。
最後に自分のこのふわふわの体毛。
おいぃぃぃぅぁぁぁぁ!?
何でだぁぁ!
俺は人間だったはず…
なのに俺は何故に鶏なってしまったんだ!
いや待て落ち着こう。
また同じ思考になりかけた。
危ないな。ちょっと変なテンションになりかけてる。
えと、今は晴れてる。晴天だ。
で、俺の視点からだと巨人がくるな。
でかいな何メートル級だ?
100メートル級か?
実際は2メートルも行かないだろうけど。
あれ?こっち見てないか?
と俺があわふたしているとその巨人は膝を折って俺に視線を合わせて――身長差で合わないが――話し始めた。
「昨日に来たばかりなのにもう産まれるなんてすごいね。それに魂の器も大きいからきっと大成するよ。」
にこやかな弾むような声は女性の声だ。
見上げて顔を見ようとするが逆光でよく見えない。
女性は続けて言う。
「ようこそ。産まれて来てくれてありがとう。」
見えないが微笑んでくれてるのが分かった。
そしてその言葉に愛が感じられた。慈愛だ。
気恥ずかしくなって雛になっている事さえも忘れてしまった刹那。
「あ、そうだ」
彼女は何かを思い出したかのように。
どこかへと去って行ってしまった。
その去って行く後ろ姿に違和感を覚えた。
長いふさふさの毛が左右に揺れていた。
それはまるで動物の、獣の尻尾のようなそんな感じがした。
見たのは一瞬だったが、記憶に残ってしまった。
あれはいったいなんだろう?
彼の疑問は産まれてくるのであった。
連載が続くかは分かりませんがやり始めたからには最後までいきたいです。