一話目
「起きなさい。今日から成人になるのにいつまで寝ているの」
毎朝起こしに来る母の声で目が覚める。成人になるからといって、眠りを妨げられる理由になるだろうか、いやそんなはずがない。
「起きなくてはいけない理由をのべよ……」
「邪魔」
「母さんひどい」
ちっ、もう少し愛のある言葉を言えないのだろうか、このババア。可愛い一人息子様だぞ。
「お隣のキース君は魔術師の適性が有って、王宮への仕官も決まったみたいだから、あんたも親孝行にな る様な職に就けるように探してきな」
家から追い出された俺は、自分の職業の適性を調べるために職業適性窓口に向かった。
この国では成人になると職業の適性を調べる。調べ方は道具に血お垂らすだけのお手軽なものだ。血を垂らすからと言って生まれたときから適性が決まっているわけではない。生き方が適性になる。適正もあれば有利というだけで、その仕事に就かなければいけないというわけではないので見なくてもいいが、自分に何が合うのか気になるので見に行く人が多いのである。
俺は、冒険者に憧れていたので昔から剣を振る練習をして過ごしていた。本物の剣は振ったこともないし剣術を教えてくれる人もいなかったので、木の棒をがむしゃらに振っていただけだったが、努力はしたつもりだ。今日その努力の結果が表れるとあって緊張している。血を垂らし結果が出るまで三十分程過ぎたころ受付の人に呼ばれた。
「アディン・バークスさん結果が出たので受付までお越しください」
「はい」
「アディンさん珍しい適性ですね、遊び人でしたよ」
「はい?」
ショックで動けなかった。
広場のベンチに座り考える。遊び人って何?職業?何をするのが仕事なのだろうか……。受付の人は、珍しいので解らないというが、それでは困る。遊び人の適性ですと言ったら印象が悪い気がする。他の仕事に就けないのではないだろうか。遊びを仕事にするということだろうか?疑問は尽きない。
遊びで金を稼ぐ適正があるということかもしれない。考えた結果その考えに落ち着いた。この町でそれが可能なのは、賭博場しか無い。大丈夫だ適性がある。そう考えて賭博場へと走った。




