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第七話:世界迷走 前編

前回、明日誕生日のミナコちゃんへのプレゼントを買いにデパートへ行った。


そしてプレゼントを買った次の日、ミナコちゃん…いや、学校の先生を含むほとんどの女の人が学校を休んでいた。


女の人だけがそろって休みはおかしいと思った僕たちは河治先生に話を聞くことにした。


河治先生が言うにはこの事件は今朝新聞に書いてあったらしい世界評議会?の議長?ジニアス・ソルウェイが導入した制度が関わっているらしい。


「ジニアス・ソルウェイが導入した制度は、町に住む女性を大人、子供関係なく政府に渡せ、というものだ。」


それじゃあミナコちゃん達は今そこにいるってこと?


「そんな…それじゃあミナコちゃんはどうなるんですか?」


「ジニアスの事だ…女性は極限まで苦しめられ、辱められ、心を壊される…」


それを聞いた途端、僕の頭の中は真っ白になった……


どうして…?ミナコちゃんは何も悪いことはしてないのに……


「何故だ!?世界の人々は世界評議会の私物じゃないんだぞ!!」


一也君が強い口調で言う。


「先生!まずは桃野さんの家に行きましょう!桃野さんが売り渡されるのをどうして受け入れたのか、この事を桃野さんの親に問わなくては!!」


「そうだな、ハジメ君、良いかね?」


河治先生が聞いてくる。


「もちろんです!僕もミナコちゃんのことが気がかりで…!」


「決まりだな。行くぞ。」


「待ってくれよ!俺だけ除け者なんてそりゃないだろ!!」


圭太君が走ってきた。


「圭太君!君もミナコちゃんのことが…」


「ああ、俺もミナコの事は気になってたんだ。いつも休みの時はみんなそろって心配するのに今回に限ってミナコの男友達揃いも揃って心配いらないの一点張りなんだよ!」


「そうだったんだ…それじゃあ行こう!」


こうして僕たち4人はミナコちゃんの家に行くことにした。


外は何一つ変わった様子はない。一つ上げるとしたら女の人が結構少なくなってる…


途中で河治先生が通りかかった人に話を聞く。内容はよくわからなかったけど、なんか軽くあしらわれているみたいな感じだった…


とりあえずミナコちゃんの家に着いた。河治先生がインターホンを鳴らす。


「はい。どちら様でしょう?」


「私は桃野さんのクラスの担任を務めさせていただいております。河治博成と申します。桃野さんの保護者の方でしょうか?」


「はい。」


あの人がミナコちゃんのお母さん…結構美人だった。


僕と圭太君、一也君は河治先生の後ろに立っている。


「単刀直入に申します。貴女は世界評議会、ジニアス・ソルウェイに娘さんを売り渡したのですか?」


その後帰ってきた言葉は僕にとって信じがたいものだった……


「はい、ジニアス様の為に、喜んで売りました。」


「何故です!何故……!」


本当になんでだよ…自分のたった一人の娘なのに…!


「なぜって…これは私たちの暮らしを豊かにするため、そしてあの子のためなんです!」


「ふざけるのも大概にしていただきたい!貴女はあの男に陶酔しているだけだ!気に入られたいがために娘を売り飛ばした!」


…いや、きっとその時はそうするしかなかっただけで本当は後悔してるんだ…きっとそうだ…


「陶酔して何が悪いんですか!?あの人は絶対にこの国を平和で住みやすくしてくれます!」


きっとこれも……そうなんだ……


「圭太君、一也君、僕ちょっとあっち行ってる。」


「ん?ああ…」


圭太君と一也君も何か怖い顔になっていた…僕はその場にいられなくなってすぐに離れた。


「あっ!君は!!」


その先には見覚えのある人がいた。


「何?貴方は……」


やっぱり、遊園地であった人…フィーネさんだ!!


「あの時遊園地にいた子だよね?」


灰色の長い髪の毛だし間違いない!


「あの娘の連れか…?」


「僕は夢野ハジメ!よろしく!君は確かフィーネさんだよね?」


あの時ミナコちゃんが聞いてたし、僕にもちゃんと聞こえていた。


「ええ、みんな私をそう呼ぶ。」


「そっか。」


それにしてもフィーネさんにはどこか不思議な魅力を感じている。何か知らないけど、僕とはまるで違う何か……


「…ハジメ…一ついいか?」


「何?」


「ジニアス・ソルウェイがとある制度を導入した。」


「あ!それ知ってる!河治先生から聞いたよ!」


フィーネさんも知ってたんだ…


「きっとミナコちゃんもそのジニアスのところにいるんだ!それに今河治先生がミナコちゃんのお母さんとお話してるんだ。きっとお母さんも心配してるよ!早くミナコちゃんを連れて帰らなきゃ!」


「…いや。」


「え?」


「ミナコの母は娘を心配してはいない。むしろその母がミナコをジニアスの所に送った。奴に媚びるためだけに…」


どうして…フィーネさんまで…


「…河治先生がミナコちゃんのお母さんにそんなこと話してた。でも、ほんとはきっと後悔してるんだよ!今は強がってるけどきっと!!」


絶対そうだ…そうに違いないんだ……


「…なぜそう思う?」


「な…何故って…それは…」


何故…?何故なんだろう…?


「…ハジメ、一つ忠告しておく。人の心に光があると信じる澱みなき心はあまりにも風化が早すぎる。本来の道を踏み外し、隠された道を見出せなければその先に待つのは地獄さえ比較にならない苦しみの海……」


……どういうことだかわからない…僕の頭の中はぐちゃぐちゃ……


「…要するに優しい人が本当に心優しいとは限らない、ということ。」


それを聞いて少し落ち着いた…


「…そんなこと……」


「…まあ、今は無理に考えることもない。明日あたりミナコという女は戻ってくる。」


「えっ!?本当!?」


僕はそれを聞いて我に返った。もしかしてフィーネさんって実は結構お偉いさんなのかな?


「本当。だから心配することはない。」


「ミナコちゃん、助かるんだね!?」


「ええ。」


きっとフィーネさんがジニアスって人と話し合ってミナコちゃんを返してもらうんだろう。


「私は帰る。ハジメ、縁があったらまた会いましょう。」


「うんわかった。フィーネさん!またね!」


そう言うとフィーネさんは帰って行った。


僕はとりあえずみんながいる所に戻った。すると……


「み…みんな!?」


みんなその場に倒れていた。僕は慌てて駆け寄る。


見たところ怪我はなさそう、でも一体何で…?


「すみませーん!!誰か助けてくださーい!!」


僕は大声で助けを呼んだ。


すると誰か来た!


「君!どうしたんだい!?」


来たのはかっこいいお兄さん、その後ろにいろんな人がいる。


僕は今起こっていることを説明した。


「そうか!すぐ近くに僕の家がある!そこに運ぼう!みんな!手伝ってくれ!」


後ろの人たちが河治先生たちを近くにあった家に運んでいく。


それにしても、一体どうして…?


僕は深く考えながら先生たちが運ばれている家にそのお兄さんと一緒に行った…

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