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第三話:ハジメとFINE

今日は学校は休み!


圭太君達3人と遊園地に行く約束をした。


僕が一人で出かけることを家族は心配していたが僕は大丈夫だと言ってそのまま家を出る。


集合場所は河治先生のいた秘密基地。あの遊園地は子供だけでは入れないので先生にもついて行ってもらうということ。


僕が秘密基地に着くと、もう皆集合していた。


「ハジメ!遅いぞ!」


「ごめんごめん!信号で待っちゃって。」


「まあまあ、来たからいいじゃない。」


ミナコちゃんがそう言ってくれた。


「近頃の子供は元気なものだな。」


河治先生はやれやれといった感じでそういう。


「それより先生!早く連れてってよ!僕今から楽しみなんだ!」


「分かった分かった、そんなに慌てるな。」


河治先生の運転する大きな車に4人が乗る。助手席には玄郎太さんが乗っている。


「皆乗ったか?」


「はーい!!」


「では行くぞ。」


河治先生は車を走らせた。その車は遊園地に向かっていた。


しばらくして…


「ガキ共、こいつを受け取れ。」


玄郎太さんが僕達4人に何かを渡してきた。防犯ブザーみたいなものかな?


「何かトラブルが起きたらそのスイッチを押せ。俺がすぐに向かってやる。」


「…はい!」


4人は返事を返す。


そしてまたしばらくすると遊園地に着いた!


「俺はここに残る。いざという時に体力を消耗していては困るからな。」


そう言って玄郎太さんは遊園地の外のベンチに座っている。


「分かった、この子たちの事は私に任せてくれたまえ。」


僕達4人と河治先生は遊園地に入る。


「あ!僕あれ乗りたい!」


ジェットコースター!僕はそれを指さす。


「いいじゃない!乗りましょう!」


ミナコちゃんもそう言ってくれる。


「え…身長制限など大丈夫なのですか?」


一也君はちょっと遠慮気味…


「どうした一也?恐いのか?」


圭太君はそんな一也君をからかう。


「そ…そんな事はありません!そこまで言うのであれば乗ってみせます!」


一也君は強がる。


「じゃあ決まりだな!乗ろうぜ!」


圭太君がそう決める。僕は河治先生に許可を求める。


「河治先生!いいですよね!?」


「うむ、折角遊園地に来たからな。いいだろう。」


河治先生はすぐに許可してくれた。僕達は喜んでジェットコースターの所まで行く。一也君がちょっと乗り気じゃなかったけど…


「身長制限は大丈夫のようだ。乗れるぞ。」


そう言った河治先生を含む僕達5人はジェットコースターに乗る。


ジェットコースターは動き出した。坂を登って行き…凄いスピードで降りていく!


僕達は思わず叫んだ!!


そしてジェットコースターが戻ってきた。


「皆、楽しかったか?」


「はい!」


一也君以外の3人はそう返事した。一方、一也君は…


「一也は…」


河治先生が心配する。確かに一也君は目が死んでて口は何故かにやけている。


「…やっぱり無理させない方が良かったかな?」


圭太君はちょっと反省した。


とりあえず近くのカフェで休憩することにした。河治先生が僕達のジュースを買ってくれた。


「さて、私は少し用事があるので君達はここで待っててくれ。何かあった時は玄郎太が渡したスイッチを押せ。」


「はーい。」


河治先生はそのままどこかへ行った。


僕達4人はカフェでしばらくゆっくりしている事にした。


「ふう…暇だな。」


圭太君がそう言う。


「うん…あら?」


ミナコちゃんは何かに気付いた。その視線の方に目を向けると…


「……」


一人の女の子がいた。黒い服に灰色の髪の毛、ちょっと白めの肌…どこかで見たような…


「あの子どうしたんだろう?ちょっと声かけてくるね!」


そう言ってミナコちゃんは女の子の傍に駆け寄る。


「ねえ君…」


「…何?」


ミナコちゃんに気付いた女の子は振り向く。


「迷子なの?親はどうしたの?」


「…!!」


急に女の子に睨みつけられたミナコちゃんは思わず謝った。


「あ!ごめんね!悪い事聞いちゃった?」


女の子は表情を戻す。


「ねえ君、お名前は?」


「…フィーネ。そう呼ばれている。」


フィーネと名乗った女の子…もしかして外人さん?


「えっと…フィーネちゃん、だったっけ?どうしてここに?」


「…外を好きなように出歩いているだけ…」


フィーネさんの態度はちょっとそっけない…今度はフィーネさんがミナコちゃんに質問してきた。


「…貴女は何故私に構うの?」


「何故って…貴女が一人でいたから…気になって…」


そこまで聞いた時…観覧車の方から誰かの悲鳴が聞こえた!


「!?何だ!?」


圭太君や一也君にも聞こえたみたいで!皆同時に観覧車の方へ目をやり、向かう!


そこには…


「な…何だあれ…?」


圭太君が脅えている…そこにはとても人間とは思えない不気味な生き物がいた…口からは涎が垂れている……化け物だ!!


化け物はその恐ろしい口から赤いビームを出して人を襲っている!


僕達はとにかく逃げる!僕とミナコちゃんは逃げながらさっきまでフィーネさんのいたカフェに目をやる。


だけどそこにはフィーネさんはいない…先に逃げたのかな?


「おいハジメ!玄郎太さんがくれたスイッチ使わないのかよ!?」


圭太君に言われてそのことを思い出した!僕は慌ててスイッチを取り出して押す!


スイッチは赤く光りだす!何があるのか?


「うわっ!!」


一也君が転んでしまった!化け物はその一也君に目をつける…


「一也!!」


圭太君が叫ぶも、一也君は起き上がれない…その顔は恐怖に歪んでいた。


「あああ…」


化け物が一也君に手を伸ばす…その時!


「うらぁっ!!」


何かが化け物にぶつかり、化け物は倒れる!


「やっぱりな…始まりの力を持つガキの匂いを嗅ぎつけてこんなところまできやがった…」


そこには玄郎太さんがいた!玄郎太さんが僕達を助けてくれたんだ!


「玄郎太さん!!」


僕がそれに気付き呼びかける。他の3人も分かってるよね。


「気をつけな。まだ奴は動く…」


玄郎太さんの言うとおり化け物は起き上がる。


「さて、政府が作った化け物を始末するか。」


化け物が玄郎太さんにパンチを仕掛ける!だけど玄郎太さんはしゃがんで避ける!


そこへ足払いをかけて化け物を転ばせる!そして蹴りあげた後、思いっきり右ストレートを決めた!


化け物は茂みへと吹っ飛んで行った!!


「やれやれ…こんなガキのためによくここまでやるもんだ。」


「玄郎太さん!」


僕達4人は玄郎太さんの元へ駆け寄る。


「怪我はないか?」


「はい!」


きっとこのスイッチを押したら玄郎太さんが気づいてくれたんだ。


「玄郎太さん、助けてくれてありがとうございます。」


僕はお礼を言った。


「礼はいらねえよ。河治がお前らを守れと言ったから守っただけだ。」


玄郎太さんは頭をかきながらそう言った。


その後、僕達の後ろから声がした。


「おや、怪物の出現報告を聞いたので駆けつけましたが…心配には及ばなかったようですね。」


僕達はそれに気付いて振り返る。そこにはなんか軍隊みたいな服を着た黒いロングヘアーのおばさんがいた。それに気付いた玄郎太さんが声をかける。


「美晴か…悪いな、獲物はもう仕留めた。」


「えっ!?」


玄郎太さんの言葉を聞いた時、一也君が突然反応し、おばさんの方を見る。


「美晴!?もしかして貴女は三大軍神の煉城美晴氏では!?」


「ええ。」


煉城美晴?確かこの前一也君が教えてくれた凄い人か。その人が今目の前にいるってことか!


「やっぱり!初めまして!僕は木下一也と言います!!」


「一也君ね。よろしく。」


二人が挨拶をした後、河治先生が戻ってきた。


「む?美晴ではないか。どうした?」


「河治さん、先ほどこの近くに政府の差し向けた怪物が出現しまして…玄郎太が始末したようですが。」


「そうか、私が奴の情報を集めている間に…」


その言葉に僕はちょっと疑問が生じた。河治先生は何か探しているのかな?…いや、あんまり気にしない方がいいかも。


そんな事を思っていると、ミナコちゃんがぼそりと呟いた。


「フィーネちゃん…無事かな…?」


それが聞こえたのか、河治先生と玄郎太さん、美晴さんが同時にミナコちゃんの方を見やる。そして河治先生がミナコちゃんに質問した。


「ミナコ君…先ほど何と言った?」


「え…?ああ、怪物に襲われる前にフィーネちゃんと言う女の子に会って…多分逃げたと思うんですけど…」


河治先生達はフィーネさんと何か関係があるのだろうか?


「…いや、考えすぎか…失礼した。」


そう言って河治先生はミナコちゃんから離れる。その後に圭太君が言った。


「それより遊園地…人がほとんどいなくなってもう閉園状態だな…」


「あー…ほんとだ…」


僕がそう言う。本当に遊園地は僕たち以外誰もいなくなっている。


「仕方ありません…今日は帰りますか…」


一也君がそう言う…確かにもうそれしかないみたいだ…


「そうだな…君達の家へは私が送り届けよう。」


河治先生の車で家まで帰ることになった。


僕たちは車に乗る。美晴さんはと言うと…


「私はもうしばらくここの周辺で例の者の情報を集めます。」


「そうか、分かった。」


なんかの理由で残るみたいだ。来た時と同じメンバーで帰ることにした。


河治先生の車の中で…圭太君と一也君は眠っている。ミナコちゃんは何か考えていた…フィーネさんの事だろうか?僕は声をかけた。


「ミナコちゃん?」


「あ…ハジメ君…」


気付いたみたいだ。ミナコちゃんは僕の方を向く。


「何を考えてたの?」


「フィーネちゃんの事…それを話そうとしたら河治先生達が何か様子がおかしかったから…」


確かに…あれは何かあるような感じだった…でも僕達には何も分からない…


「あんまり気にしない方がいいよ。」


「そうね…」


僕はそう言ってミナコちゃんを安心させようとした…うまくいったかは分からない…


河治先生の車は僕たちを乗せて走り続けていた…

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