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ィァィァハスター

ィァィァハスター


榊原光ことコウは目の前の闘いを真剣な目で見つめていた

あまりにも巨大な亀≪タートルフォートレス≫はその前に立つ吹けば飛ぶような妖精にブレスを放つ

それは台風のような勢いで雷を纏い、妖精を飲み込む

しかし、妖精は焦ることも躱すこともなかった

そのブレスが通り過ぎた直後、何事もなかったかのように立つ妖精からの反撃の魔術が発動する

自身がもっとも得意とする、主とともに磨いてきた≪風の帝級魔術:ハストゥール≫はその邪神の名の通りの威力を発揮すると眼前の山と見間違えるような巨体を風圧にて一瞬で押し潰す




あっけないなぁ…

VRRPGアルティメットワールド(通称AW)Ver10で追加されたBOSSモンスター≪タートルフォートレス≫

要塞の名前そのままに巨大、硬い、頑丈というのが売りのBOSSモンスターだ

もちろんBOSSに相応しいだけの攻撃力も兼ね揃え、現在掲示板で討伐に関する熱い議論が交わされているモンスターだ



曰く

背中に乗ってハンマーで叩けばいい、崖から落とせばいい、地雷を使ってひっくり返せばいいなどだ

最後のやつはたくさんのプレイヤーがピコン!と来たらしく、試してはあんなのひっくり返らねえよ!とレスが埋まっていたのを見た

ちなみに俺は、レベルをあげて、物理で殴れとアドバイスしたのだが、どんだけ廃人だよとレスを返された過去がある



「昔のプレイヤーはこれが常識だったんだがなあ…」

様々な戦法を駆使して戦うことができるAWにおいて最終的にどんなクエストもレベルをあげて物理で殴るが最強だった

スタッフの中に脳筋プレイを好む人がいたのか、たいていの問題は力で解決できるように設定してあるのだ


                       

戦いを終えて自分の肩へと腰かけている相棒の風≪ふう≫の頭を撫でながら、同意を求めるように、なぁ?と顔を向ける

さすがにAIに人間並みの受け答えをさせるほどのプログラミングはできていないために、風はこちらの問いかけに答えることはない

「パートナー妖精でも一撃で倒せるんだがなぁ…」

証拠だといって動画を上げたこともあったが、廃人乙の一言でそれ以降、碌なレスはつかなかった

すっかりAWのやりこみも終わってしまい、今は亀を倒す以外は風とともに空の散歩くらいしかすることはない



「今日はそろそろ落ちますかねっと」

返事がないのは分かっているがついつい、一人暮らしが長くなると独り言が多くなるのだ

AWからログアウト、ヘッドギアを外し、パソコンの前へと移動する

VRシステムが主流になってもいまだにVRゲーム化しないものがいくつかあり、その手のゲームはパソコンでプレイしないといけないのだ



「今日はどの子を攻略するかねー」

その中のジャンルの一つにギャルゲー及び18歳未満お断りのゲームがある、女性の人権云々に引っかかるとのことだ

画面から出てこない恋人に思いを馳せていると新着メールの着信があった



「…パソコンに?」

パソコンのメールなど、もう数年使っていないはずだが、疑問に思いながらもとりあえずチェックする



≪転生ライフのお申込みのお知らせ≫

このメールは特定のユーザー様へとお送りしています

転生ライフのプレイをお望みの方は下のURLをクリックしてください



「なんだこれ?」

おそらく新作のゲームの連絡なのだろうが。今更パソコンの新作ゲームなど出しても一部ジャンル以外は利益が見込めないはずだが

とりあえず、URLをクリックしてみる

普通に考えればこんな怪しいURLのクリックはしないが、まぁ、パソコンだし、おかしい挙動をすれば速攻シャットダウンして初期化すればいいや程度である

クリックした先にあったのは…



転生先にてコンバートしたいゲーム名とプレイヤー名をご記入ください

この時、俺は何も考えずに、アルティメットワールド コウと記入してEnterを押した

今にして思えば、この時、既に何かしらの呪文をかけられていたのかもしれない

とはいえ、当時は、社会人より社懐人だったとはいえ、現代日本人

まさか、剣と魔法の異世界が存在してそこに呼び寄せられるなどとは考える余地もなく……


かくして、俺の剣と魔法の世界での無双ライフが始まったのである

風の帝級魔術:ハストゥール

早い話が風の最強呪文

初級 中級 上級 帝級と呪文のランクは分かれている

パートナー妖精

Ver4.0で追加されたシステム

自分の手のひらサイズの妖精をパートナーとして育てることができる

モンスターとは違い、プレイヤーの覚えるスキルは全て覚えることができるのが特徴

成長は遅い

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