【設定集】スクロールと成約
1. スクロールの本質と起源
1) 定義
大規模な魔法陣の準備工程を省略し、即時発動を可能にする携帯型術式パッケージ。
2) 起源
古代、大規模魔法を行使する際に大地へ魔法陣を設計し魔力を注入していた方式から着想を得た。
3) 流通
魔法協会が製造・流通を独占し、関連市場を掌握している。
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2. 等級別分類
1) 下級スクロール:消耗型
- 構造:
下級〜中級の「魔力結晶の粉末」をインクとして使用し、紙の上に直接魔法陣を描く。
- 原理:
魔力を通すと、結晶自体が燃料となって燃え尽きながら魔法を発動させる。一度使えば紙ごと燃え尽きるか、魔法陣が消滅する「使い捨て」となる。
- 純度と威力:
魔力結晶の純度が高いほど、魔法の規模と威力が増大する。
- 経済性:
価格は相対的に安価だが、最も安いスクロールでも安価な装備に匹敵する。
冒険者や軍人にとってはやはり高価な方であり、誰もが保有しているわけではない。仮に保有していたとしても、最も一般的な運用法は「切り札」や「保険」として1〜2個を所持するか、もしくは作戦の一環として冒険者ギルド・軍から直接配給され、作戦として使用することになる。
財力のある者は大量に備蓄し、火力として活用することもある。
2) 上級スクロール:固定資産型
魔法協会の最新魔法工学が集約された形態で、【回路】と【燃料】が分離した構造を持つ。
■ 核心素材
- 魔力結晶:
魔力が凝縮し固形化したもの。いわば「魔力の電池」である。純度が高いほど強力な魔力を持ち、属性によって色が異なる。上級スクロールでは交換可能な【燃料】として機能する。
- 水晶:
魔力の「伝導体」、すなわち【回路】である。魔力を流しても変質せず、スムーズに魔力を運ぶ性質を持つ。
■ 水晶の純度
水晶の純度は上級スクロールの性能を左右する核心要素である。
- 伝導率:
純度が高いほど魔力の伝達効率が上がる。
- 損耗軽減:
純度が高いほど、使用時に消失する水晶と魔力の量が少なくなる。
- 耐久性:
純度が低いほど回路の損傷が早く進行する。
■ 高価な理由
水晶自体よりも、魔力結晶を安定した燃料へ変換する【燃料化技術】の高コストに起因する。
■ 効率性
現在の技術では下級魔力程度の燃料しか収容できないため、高火力出力よりも多回使用および精巧な術式維持に特化している。
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3. 属性群別の適用限界
1) 自然属性群
発動時の物理的衝撃が水晶回路を損傷させるため、上級製作は非効率的である。大半が【下級・使い捨て】として消費される。
2) 創造属性群
物理的負荷が少なく水晶回路の保存が容易である。ただし「コインの反転」のような複雑な属性制御が必要なため、製作難度は非常に高い。
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4. 成約スクロール
創造属性群の精髄であり、最も精巧な上級スクロール技術が適用される分野。
1) 定義
【成約魔法】とは、闇と光属性の複合魔法である。しかし相克である光と闇の両属性を持つ者は稀であるため、魔法協会が魔法をスクロール化して販売している。
2) 構造
- 一枚目:
光と闇の属性を持つ魔力結晶の粉末を調合し、魔法陣を描く。
- 二枚目:
契約内容を記す。魔法発動後、契約者の名前などが署名として刻まれる。
3) 発動媒介
契約者の【血液】を通じて術式とマナコアを同期化し、契約履行を強制する。
4) 希少性と価格
製作の困難さと燃料化技術のコストにより、一般的な魔法スクロールに比べて高価で取引される。
5) 種類
■ 市販品(三大成約)
- 債権の契:
金銭や物品の貸し出しの際に使用。
- 主従の契:
雇用契約の際に使用。一部の階層では奴隷契約にも用いられる。
- 沈黙の契:
秘匿義務の際に使用。
■ 国家専用
- 真実の契:
犯罪の容疑者を捕らえた際、尋問時に己の真実と異なることを言うと激しい苦痛を与えるスクロール。上記の三つよりも高価なため頻繁には使用されず、悪用防止のため市販は禁じられている。
■ 特注品
市販にない内容やカスタムが必要な場合は、魔法協会に依頼して製作してもらうしかない。
これは上級スクロールの製造の難易度のみならず、成約魔法という特性上の倫理・法律的な判断が必要だからである。
6) 購入と使用
■ 定型文
多くの契約は定型文が決まっているため、協会が販売するスクロールには最初から必須事項が刻まれている。
■ 追記サービス
期限や金額など数字が異なる部分については、販売時に魔法陣に必要な記号を記したガイドや追記用の水晶粉を無料で提供される。
必須ワードの追記は販売店で無料対応。
その他条件の追加は手数料込みで追記可能。
■ 使用手順
- 使用者が詳細、双方で定めた内容、金額、期限などを書き足す。
- 互いの血を垂らして契約を締結する。
7) 倫理規範と規制
■ 禁忌
成約違反の代償として【死】を設定することは、法律ではなく人倫的な次元で厳格に禁じられている。
■ 製造規制
成約のみならず様々な魔法のスクロール製作が原理上は可能だが、魔法協会により禁止もしくは制限されている。一般人が扱うにはあまりにも容易で危険だからである。




