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忌子物語  作者: あむ
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【設定集】統治哲学とメイド

0. 設立背景:王家の統治哲学

「獅子は寝所を守らせぬ。」


1) 統治哲学:信頼の美学

不文律: 王宮内部には「男性の従者」や「武装兵力」を一切置かないことが原則である。


建国当時の意図

絶対的自信: 真の強者は寝所に護衛を並べたりはしない。「誰も余を害することはできぬ」という王権の誇示である。

絶対的信頼: 貴族たちに対し「余は卿らを疑っていないため、武装もしない」という、計算された信頼を示すためである。

絶対的な力:英雄とその仲間が建国した国であるため、王宮騎士団も彼らとその子息のみで構成された。

2) 現実と歪み:騎士団の本質

構成: 王宮騎士団は実力者ではなく、王族や貴族の子息たち(いわゆる「お坊ちゃん」)で構成されている。


同床異夢

王:あくまで対外的な「公式行事用」の飾りとして配置している。

貴族: 国家への献身よりも、「名誉ある経歴(スペック)」作りや「人脈形成」の場として利用している。

限界: 彼らは政治的な存在であり、王の寝室や密室といった「真に守るべき内部」の警備を任せることはできない。


3) 歴史

建国当初こそ、王と貴族の絆は真の信頼に基づく理想郷であった。

しかし、悠久の歴史の中でその関係は変質し、王権への挑戦を画策する貴族さえも現れるようになる。

これにより、かつての「信頼の美学」は空虚なパフォーマンスへとその意味を歪めてしまったが、伝統ある統治哲学を覆すことは容易ではない。

結果として生じた、王権の演出と騎士団の限界による必然的な「警備の空白」。

その致命的な隙間を埋める存在こそが、美しく一見無害な『メイド』たちである。

平和に見える王宮の実態は、今やメイドたちの「見えざる剣」が支配する空間になった。

____________________


1. 組織構造

組織はほとんど下記の通りに構成される。


1) メイド長

地位: 王妃が直接任命する最側近。政を除いた王宮内の最高実務管理者。

権限: 人事権と王宮内の全情報を独占する、まさに「情報の怪物」である。


2) 管理メイド

構成: 30代中盤以降。数年間王宮に奉公し、全ての業務を把握している者。実務能力だけでなく、統率力・実績ともに極めて優秀なメイドが選抜される。

役割:

一般メイドの業務遂行および人員の管理・監督

現場から収集された膨大な情報の精査・整理

断片的な情報を繋ぎ合わせ、価値ある「情報」へと昇華させる加工業務


3) 一般メイド

構成: 15歳から正式なメイドとして働くことができる。

一般メイドになる審査基準は基本、有能かつ容姿端麗な女性たちである。

役割:

家事・接待を含めた王宮業務

王宮内外の情報収集


4) 見習いメイド

構成: 13歳から王宮メイドの見習いとして王宮に入る。

役割: 家事・接待を含めた王宮業務の研修

____________________


2. 業務および役割


1) 表の業務:家事および儀典

清掃、洗濯、調理、医療補助など、王宮を維持するための労働全般。


2) 裏の業務:情報収集

目的

王宮内で交わされる「すべての会話と情報」を収集し、メイド長へ報告する。


手段

盗聴・読唇: 清掃や給仕を装い、貴族の密談を盗み聞き、あるいは遠くから唇の動きを読み取る。

夜伽: これは単なる奉仕ではなく、情報収集のための「武器」である。もちろん個人的な理由で楽しむメイドもいる。


夜伽の二重性

個人の目的: 貴族の愛人や後援者獲得による身分上昇(玉の輿)。女性組織である故に、性的な欲求解消を目的とする者もいる。

組織の目的: 色香に惑わされた貴族から、決定的な弱点や「ベッドの中だけの密談」を引き出す。

運営方針:

メイド長はこの行為を禁止せず、むしろ放任・奨励している。

メイドが貴族の懐深くに入り込むほど、組織が得る「情報の質」と「影響力」が強まるからである。

____________________


3. 特記事項:公然の秘密

「なぜ、貴族たちはただの使用人であるメイドを無下にできないのか?」


1) 無防備な欲望

貴族たちは欲望のまま、警戒心もなくメイドを寝室に招き入れる。

「メイドが会話を報告している」という噂はあれど、「まさか自分の情事の会話まで報告されているわけがない(ただの下世話な噂話だろう)」と高を括っている。


2) 情報という名の武器

武器化する情報: メイド長は物理的な武力ではなく、「情報」を武器とする。

見えざる警告:

もし貴族がメイドを無理やり手籠めにしようとしたり、不当に扱おうとすれば、メイド長は静かに近づき、その貴族の「致命的な秘密」を優雅に囁く。


───「伯爵様、先月の西別館での『()()()()()』について、王妃殿下が案じておられましたわ。……ああ、その子は別の用事を言いつけておりますので」


自身の醜聞が露見することを恐れた貴族は、屈辱を飲み込んで引き下がるしかない。疑心暗鬼に陥った貴族は、社交界で孤立していくこともある。

____________________


4. 教育カリキュラム

「王宮の花は、鋼鉄(はがね)で咲き誇る。」


1) 共通課程

基礎素養: 王室礼法、家事を含めた通常のメイド業務全般。


2) 深化課程:情報と心理(スパイ養成)

目的: 貴族の心理を掌握し、情報を抜き取る「スパイ」を育成する。

内容:

諜報術: 掃除を装った盗聴技術、読唇術、暗号の解読および伝達法。

籠絡術: 相手の警戒を解く会話術、嘘を見抜く技術、ハニートラップを含めた媚術。

医療知識: 毒物の判別法および基礎的な応急処置。

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