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忌子物語  作者: あむ
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【設定集】魔法と詠唱

1. 魔法の発動原理

魔法とは、単なる奇跡ではなく、知識と計算、そして効率によって構築される工学である。


1) 発動の3工程

本来の魔導士は、以下の手順を経て魔法を具現化する。

抽出: 体内の魔力を燃料として引き抜く。

※魔力の霧散: ただし、体外へ引き出された魔力は、魔法として固定されるまでの間、絶えず空気中へと霧散(ロス)し続ける性質を持つ。

演算: 数式を計算し、設計図となる【魔法陣】を抽出した魔力で錬成する。

具現: 魔法陣が完成すると、物理現象(魔法)が発動する。


2) 効率と威力

純度: より純粋な魔力を引き抜くほど燃料としての効率が良く、強力な効果を発揮する。

時間との勝負: 抽出してから発動までの時間が長いほど、空気中へ逃げる魔力(ロス)が増えるため、迅速な演算が求められる。


__________

2. 装備

魔導士が杖や道具を持つのはファッションではない。

「魔力の霧散」を防ぎ、「純度」を高めるための生存戦略である。

装備は大きく2つのタイプに分類される。


■ 魔力凝集型

目的: 【ロスの最小化】

原理: 体外に抽出された魔力が空気中に散らばるのを防ぎ、魔法陣へ注ぎ込むまで繋ぎ止めておく機能を持つ。

価値: どれだけ魔力を逃さずに保持できるかで価格が決まる。「逃げる魔力が少ない=高価」である。


■ 魔力フィルター型

目的: 【純度の精製】

対象:

複数属性持ち: 混ざり合った魔力から、特定の純粋な属性魔力だけを濾過するために使用する。

特殊職: 教会の聖職者(光属性)や、裏社会の闇属性使いなどが、属性純度を高めるために使用する。

価値: そもそも複数属性持ち自体が稀有であり、光・闇属性の装備も特殊であるため、凝集型よりも遥かに高価で流通量が少ない。


__________

3. 生き物と適性


1) 適性と純度

生命の原則: この世界の多くの生命体は、生まれつき一つの自然属性適性しか持たない。

複数属性のジレンマ:

二つ以上の適性を持つ生き物は稀である。

仮に持っていても、単一属性の個体に比べて体内の魔力純度が低く、コントロールが不安定になりがちである。


2) 複数属性の運用

二刀流の理由: 複数属性を持つ魔導士は、理論上は「複合魔法」を使えるが、上記の理由(純度・コントロール難易度)から素手での発動は困難である。

解決策: そのため、高価な「複合属性フィルター」を買う財力がない限り、両手にそれぞれ異なる属性の「単一属性用・凝集杖」を持って補うのが一般的である。


__________

4. 詠唱と魔導士の価値


1) 詠唱の本質:演算の補助

詠唱とは魔法発動の必須条件(ON/OFFスイッチ)ではない。

脳内の膨大な設計図データを引き出すための「音声による連想トリガー」であり、計算過程の「独り言」に過ぎない。


原理(数学者の独り言):

複雑な数式を解く数学者が「ここでXを代入して…」とブツブツ呟くのと全く同じ原理である。


魔法の構造が高度になるほど、必要な数式と設計図(魔法陣)が巨大になるため、魔導士は数式の塊を「特定の言葉(呪文)」に圧縮して暗記している。

実戦では、その言葉を口に出して脳を刺激することで、圧縮された数式を一瞬で解凍・展開しているのである。


2) 無詠唱と「長い詠唱」の正体

無詠唱: 構造が単純な「下級魔法(暗算レベル)」や、天才的な演算能力を持つ者は、口を閉ざしたまま一瞬で魔法陣を構築できるため、詠唱を必要としない。

長い詠唱: 魔法の詠唱が長いのは、呪文そのものが必要だからではなく、「複雑すぎる魔法陣の構築(計算)に時間がかかっている」だけである。


3) 魔導士の社会的価値

研究者: 魔導士の本質は、世界の理と魔力の関連を追求する研究者(学者)である。

戦略兵器: しかし、ひとたび十分な魔力と「演算の時間(守り)」さえ与えられれば、たった一発の魔法で戦況を覆すことも可能なため、国家レベルで貴重な戦力として扱われる。

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