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忌子物語  作者: あむ
11/46

【10話】少女____

ベッドで一人の少女が暇そうにゴロゴロしていた。

歳は少年とさほど変わらないのだろう。

背丈は少年よりやや高い。

肌は太陽の日を浴びたことがないように真っ白で、傷一つなく滑らかだった。

ヒップにまで届くだろう長いプラチナブロンドの髪は少年とは対照的に白く艶めいてとても綺麗だった。

長い睫毛は彼女の大きくて綺麗な目とその魅力を一層高めていた。

澄んだ大きな紫色の瞳は感情の機微をそのまま映し出すようで、不思議な透明感があった。

鼻は大きすぎない横幅と真っすぐに通った鼻筋で綺麗に顔の中心を描いている。

唇は太すぎず細すぎず、とても艶々としていて魅力的だった。


少女が着ていた真っ白なフリル付きの薄い子供用のネグリジェは、

真っ白な皮膚と長い手足を満遍なく見せびらかしていた。

まだ未発育ではあったが、その綺麗な体のラインは将来を期待させるものがあった。


そう、誰が見ても美少女だった。


────────

その少女は今はベッドのベール越しで少年を興味深く観察をしていた。

その本棚の後ろに大きな穴がある事は知っていた。

しかし世話をしてくれるメイドからは決して入ってはいけない、覗いてもいけないと釘を打たれた。

元々は活発な彼女だ。

言う事を聞かずにこっそり入った事はある。

しかし少し行った所で何もなく果てなく続く道にすぐに飽き、部屋に戻った。


そんな禁忌的な穴から正体不明の生き物が入って来た。

それは二足歩行をするし、一応服を着こんでいた。

短剣のような武器も持っている。

顔は長い毛でよく見えない。


人間か亜人類かもしれないけど、少年の飢えた姿はまるで何らかの魔物とも思わせた。

最初はゴブリンかなと思った。

しかし汚れたその姿から緑系の色の皮膚は見えない。

子供のオークかと思ったけど、それにしては随分と痩せ細った体と真っ黒な長くて豊富な髪はどこか違うと思わせた。

興味が湧いた。


少女は本で読んだ知識が全部だったけど、

魔族や鬼族などその他の亜人類も当てはめてみたものの、どれも違う気がした。


そしてその正体不明の生き物はテーブルの上に自分の分のパンをガムシャラに食べる。

随分と飢えているように見えるけど果物とお茶には手を出さないのも興味深かった。


「ねえ。」

好奇心の方が勝ってしまった少女はつい、ベッドのベール越しで少年を呼んだ。


────────

「ねえ。」

少女の声はとても綺麗で滑らかだった。

その声を聞いた少年は大きく跳ねる。

食べていたパンを落とし、声のするベッドの方を睨みつける。

そして食欲に気を取られ、警戒を怠っていたことを後悔した。


「椅子に座らず食べているところからも察したんだけど、随分とお行儀が悪いのね。食べ物を床に落としたらダメじゃない。ちゃんと拾いなさいよ。そして椅子に座ってちゃんと食べなさい。はやく!」


少年はとても戸惑いながら、もじもじとベッドの方を向いて椅子に座る。

そして手に食べていたパンを取るが、食べずに警戒心をぐっと上げた。


「だ...れ...?」

「あら、人族の言葉ができるの?よかったわ。それで、あなたこそ何?ここは私の家なんだけど。あなたが食べているのは私のご飯。」

慌てたり怖がる素振りもなく、トントンと話しかけて来る。


「ほら、そこの果物もちゃんと食べなさい。喉が渇いたのならそのティーポットのお茶も飲むのよ。お茶はちゃんとそこのカップに注いでから飲む事!」

調子が狂った少年は何故か少女の言う事を聞いていた。

パンを齧り、果物を皮ごと不器用に食べる。


「食べ終わったらお話しましょう?」

とベールから出て来ながらニッコリ笑う少女はどこか魅惑的だった。


────────


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