表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/32

【第七話:支配の礎】

 ヴィクトール・レインハルトが失脚した後、町は混乱に陥った。

 長年の統治者を突然失ったことで、役人たちは右往左往し、住人たちの間でも動揺が広がっている。

 しかし、この混乱こそ、俺にとって絶好の機会だった。


 まず、俺は混乱する役人たちを集め、冷静に言い放った。

「お前たちに選択肢はない。この町を支配するのは俺だ。従うか、それとも俺の敵になるか、好きな方を選べ」

 ほとんどの役人たちは、自らの立場を守るために俺に従う道を選んだ。

 ヴィクトールの信任を受けていた者たちは反発したが、すでに俺の手は回っていた。

「ここにヴィクトール派の裏取引の記録がある。お前たちの汚職も含めてな」

 俺は用意していた偽の証拠を見せ、彼らを脅した。

「このままいけば、お前たちは町民から吊るし上げられることになるぞ」

 それを聞いた途端、彼らの顔色は青ざめ、俺に従うしかないことを悟った。

 こうして、俺は町の行政機構を掌握した。


 次に、俺は騎士団を取り込む必要があった。

 ヴィクトールの統治下では、騎士団は町の秩序を守る存在だった。

 だが、彼らの忠誠心は町長に向けられていたわけではなく、秩序そのものに向けられている。

 そこで俺は、騎士団の幹部たちと個別に接触し、買収を持ちかけた。

「この町を混乱させたくなければ、俺に従え。俺はお前たちの利益を保証する」

 金と地位をちらつかせると、一部の幹部たちはすぐに俺に寝返った。

 また、彼らにとって最大の懸念は、町民の不満が暴動に発展することだった。

 俺はその点も利用した。

「俺が支配することで町は安定する。お前たちも、面倒事を避けたいだろう?」

 こうして、騎士団の上層部を取り込み、彼らを通じて兵士たちを掌握することに成功した。


 町の支配基盤を固めた後、俺は商人ギルドに目を向けた。

 商人たちは金に敏感だ。俺が町を支配した以上、彼らも新たな権力者に従うしかない。

 そこで俺は、商人ギルドの長に会い、言った。

「俺は町の経済を活性化させる。お前たちには利益を保証しよう」

 彼は慎重な表情を浮かべていたが、俺がヴィクトールを失脚させたことを考えれば、抵抗するのは無意味だと悟ったようだ。

「では、新たな支配者としてのあなたの条件を聞かせてもらおう」

 俺は微笑みながら答えた。

「税制を改定し、商取引を活発化させる。もちろん、俺に従う限りはな」

 こうして、商人たちの協力も取り付けた。


 俺の支配は、もはや揺るぎないものとなった。

 町の行政、治安、経済のすべてが俺の手中にある。

 だが、まだやるべきことはある。

 ヴィクトールの娘、クラリス・レインハルト。

 彼女は今も孤児院に身を寄せ、俺に対する敵意を燃やしているはずだ。

 彼女をどう扱うか……それが、次の課題だった。

 俺は不敵な笑みを浮かべ、彼女に接触する計画を練り始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ