【第三話:闇の取引と賭博場の支配】
スキルポイントを使い「盗み」と「言いくるめ」を取得した俺は、さらにこの町を食い物にするための策を練っていた。
(この町の秩序を崩し、俺に都合のいい環境を作る……そのためには、裏社会に入り込むのが手っ取り早い)
市場での盗みが成功し、手元には金貨の入った小袋がある。だが、これだけでは長くは持たない。金を継続的に手に入れられる仕組みが必要だ。
そんなことを考えながら町を歩いていると、裏路地で怪しげな取引をしている男たちの姿が目に入った。筋骨隆々の大男と、細身の商人風の男。どうやら闇取引らしい。
(いい機会だ……こいつらに潜り込めば、裏社会の情報が手に入るかもしれない)
俺はすかさず「言いくるめ」のスキルを発動させ、商人風の男に近づいた。
「おい、こんなところで取引とは、なかなかやるな」
男は驚き、警戒の色を浮かべた。
「……何者だ?」
「ただの通りすがりさ。でも、そんなに焦るな。俺はお前にとって悪い話を持ってきたわけじゃない。むしろ儲け話をな」
俺はすぐに話を作り上げた。例えば、偽造金貨の流通ルートを知っている、盗品を高値で売れる場所がある、などと適当にでっち上げる。スキルの効果か、男の表情が少しずつ和らいでいく。
「……面白い話だな。お前、名前は?」
「鬼頭悪行だ」
「俺はクランツ。闇で取引をしてる者さ。お前みたいな奴とは気が合いそうだな」
こうして、俺は闇取引の世界に足を踏み入れた。
クランツを通じて、俺は町の地下賭博場の情報を手に入れた。この賭博場は町の貧民たちが集まる場所で、そこそこな金が動いている。胴元は地元のチンピラ崩れの男たちだが、彼らは所詮小物だ。
「この賭博場を俺の支配下に置けば、金も情報も手に入る……」
俺は賭博場に入り込み、まずは客として振る舞った。サイコロやカードを使ったギャンブルが行われていたが、ここで俺は「詐欺」のスキルを活用し、イカサマで大勝ちを重ねた。
──ピロン♪ 【詐欺Lv2にアップグレード】
勝ちすぎれば当然目をつけられる。案の定、チンピラ風の男たちが俺を取り囲んだ。
「おい、お前……ちょっと話がある」
「おや? 俺は正当に勝っただけだが?」
「ふざけんな! こっちがイカサマしてるのに負けるわけねぇんだよ!」
自らイカサマを認めるあたり、やはり頭の悪い連中だ。
「なら交渉しようぜ」
俺は笑みを浮かべながら提案した。
「俺をこの賭博場の仕切り役にしろ。そうすりゃ、お前らの稼ぎを倍にしてやる」
男たちは顔を見合わせた。
「……証拠は?」
俺は先ほどのイカサマを逆手に取り、賭博場の運営に組み込むことで利益を最大化する手段を提示した。奴らにとって、金になる話は魅力的だったらしい。
「……いいだろう」
こうして、俺は賭博場の支配権を手に入れた。
その夜、俺は手に入れた金貨を確認しながら、今後の計画を練っていた。
(この町での俺の立場は固まりつつある……次は、さらに上を目指すか)
そして、さらなる悪行への準備を始めるのだった。