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第25話「激戦の幕開け」

 アルフォンスとの決戦の火蓋が切られた。

 町の郊外、開けた戦場に集まったのは両陣営合わせて数百の兵士たち。

 アルフォンス軍は規律正しく整列し、重装騎士を先頭に据えた本格的な布陣を敷いていた。一方、悪行側の戦力は統制の取れていない傭兵や騎士団の裏切り者たちが中心で、装備もまちまちだった。

「数で劣る上に、練度でも不利か……」

 悪行は戦場を高台から見下ろしながら、冷静に分析する。彼の側にはかつて支配した商業組合の幹部たちや、買収した騎士団の一部が控えていたが、戦いにおいて決定的な戦力となるかは未知数だった。

 彼は直接戦闘には参加しない。悪行が得意とするのは前線で剣を振るうことではなく、裏から戦場を操ることだった。

「お前たち、ひるむな!これはただの戦争じゃない!生き残ればすべてが手に入るぞ!」

 悪行は配下の将たちに向けて檄を飛ばし、士気を高めさせる。

 だが、相手は戦場を知り尽くしたアルフォンス軍。

 兵の練度や統制の差は明らかだった。

「行くぞ!」

 アルフォンスの号令とともに、彼の軍勢が一斉に前進を開始した。前列の重装騎士たちが突撃し、その後方から弓兵が矢の雨を降らせる。

 悪行は即座にスキル【指揮操作】を発動し、自軍の士気を強制的に高めた。

 それにより、傭兵たちは恐怖を抑え、敵の突撃に応戦する形を取る。

 だが、単なる士気の上昇だけでは敵の圧倒的な力を覆すことはできない。

「次の手を打つぞ……」

 悪行は【幻影】のスキルを発動し、敵軍の陣形に混乱をもたらそうとした。

 しかし、アルフォンス軍の魔術師たちは対幻影用の術式を展開し、悪行の策を封じてきた。

「やはり、そう簡単にはいかないか……」

 悪行は次なる手として、【影縛り】のスキルを使い、敵の前衛部隊の動きを鈍らせた。

 それによって一時的に戦線は膠着したが、アルフォンス軍はそれでもじりじりと前進を続けてくる。

「クク……そうこなくてはな」

 悪行は内心で笑う。彼は最初から真正面からの戦闘で勝つつもりはなかった。最初から、戦場全体を利用して敵を追い詰める策略を考えていたのだ。

 彼は事前に町の周囲に細工を施していた。

 退路を塞ぐために一部の橋を壊し、伏兵を忍ばせていた。

 そして今、敵軍がその策に引っかかろうとしている。

「伏兵部隊、突撃だ!」

 悪行の合図とともに、周囲の林から彼が事前に配置していた伏兵が一斉に襲いかかった。敵の後方部隊は混乱し、戦列が崩れ始める。

「いいぞ……少しずつ崩してやる」

 悪行は更に【混乱の波動】を発動し、敵の士気を低下させた。戦場に立つアルフォンス軍の兵士たちの一部が恐怖を感じ、指示通りに動けなくなっていく。

「だが、まだ決め手には欠けるな……」

 悪行は次の一手を準備しながら、戦況を注視していた。彼の策が功を奏し、戦場はじょじょに彼の掌中に収まりつつあったが、それでもアルフォンス軍の精鋭たちは決して容易には崩れない。

「次の一手を考えるか……」

 悪行は冷静に戦局を見極めながら、さらなる策を巡らせていた。戦いはまだ始まったばかりだった——。

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