表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/32

【第八話(後編):支配の罠】

 クラリスの扇動によって、町は混乱していた。

 俺は屋敷に戻り、机に広げた地図を見つめる。

「……反撃の時だな」

 このままでは、せっかく築いた支配が崩れてしまう。

 だが、俺にはスキルがある。


 俺はスキルポイントを確認した。

 ──現在のスキルポイント:3──

「……使うしかないな」

 俺は新たなスキルを獲得する。

 ──【暗示】を獲得しました──

 これを使えば、相手の思考に干渉し、俺に有利な決断をさせることができる。

 さらに、もう一つスキルを取得する。

 ──【影縛り】を獲得しました──

 対象の動きを一時的に封じるスキルだ。

「……クラリス、お前の意志は強いが、それでも人間だ。揺らぐ心がある限り、俺の支配からは逃れられない」

 俺は微笑みながら、行動を開始した。


 翌日、俺は部下たちに命じて町の広場を封鎖した。

 さらに、孤児院も掌握。

 子供たちを一箇所に集め、完全に俺の支配下に置く。

「さて、クラリス……どんな顔をするか」


「皆の者! 聞け!」

 俺は堂々と宣言する。

「この町を統治する者として、お前たちに伝えたいことがある!」

 群衆はざわつく。

 クラリスが先頭に立ち、俺を睨みつけた。

「まだ何か企んでいるのね!」

「企む? 俺はただ、話し合いをしたいだけだ」

 俺は彼女に近づき、そっと手を伸ばした。

「クラリス……お前は父を失い、絶望の中にいる」

「……黙れ!」

「だが、俺はお前に道を示そう」

 その瞬間、俺はスキル【暗示】を発動した。

 ──『お前は俺の言葉を信じたくなる』──

 クラリスの目が一瞬揺らぐ。

「……何を……?」

「お前の憎しみは理解できる。だが、俺に従えば、孤児院は守られる。町も発展する」

 ──『私が抵抗しても無駄なのかもしれない……』──

 クラリスはゆっくりと息を飲んだ。

「そんなこと……」

「俺はお前を敵にしたくない」

 ──『彼の言葉が……本当にそうなら……』──

 クラリスの手が震える。

 だが、彼女はまだ抵抗を見せようとしていた。

 そこで、俺は切り札を見せる。

「……そうか。ならば、これを見ろ」

 俺は手を叩いた。

 すると、部下たちが孤児院の子供たちを連れてくる。

「!!」

 クラリスの表情が一変する。

「何をするつもり!? その子たちに手を出さないで!」

「お前次第だ、クラリス」

 俺は冷たく言い放った。

「お前が俺に従うなら、こいつらは安全だ。だが、もし俺に逆らうなら……どうなるか、わかるな?」

 クラリスは拳を握りしめ、震えていた。

「……卑怯者……!」

「何とでも言え。俺は結果を求めるだけだ」

 沈黙が広場を包む。

 クラリスは目を閉じ、深く息を吐いた。

 そして、静かに跪く。

「……わかったわ」

 俺は勝利を確信した。

「これで決まりだな」

 俺は彼女の肩を優しく叩き、広場を見渡した。

「町はこれからも安定を続ける。俺が支配する限りな」

 群衆は静まり返った。

 支配は、確実に進んでいく。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ