魚料理と格闘するアイシス
もう朝になったな。
俺は静かに身体を起こし寝ているアイシスの唇を塞ぐ。
「うん?」
軽く反応をするアイシス。
俺は優しくアイシスの口内に舌を差し込む。夢現のアイシスだが、次第に俺の舌を受け入れてくれる。
ゆっくりとだが確実に激しくなっていく。
既にアイシスは俺の頭を抱き締めている。完全に眼が覚めたようだ。
俺は唇を塞ぎながらアイシスの身体を弄り始めた。
「もう、なんなのよ。吃驚するじゃない。駄目よ、それ以上やったら後戻りができなくなるじゃない」
駄目と言いながら俺の手の動きに合わせてくるアイシス。
言葉と行動の意思表示が違う時は行動の意思表示が本心だ。
俺はアイシスの期待に応えるようにアイシスを求め始めた。
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性的に満足した俺はアイシスのお尻を撫でていた。
「どういう事、トキ? もうこんな時間よ。おかげで朝の鍛錬ができなかったじゃない。私は止めてって言ったわよね」
俺の手を叩きながらアイシスは睨む。
「こういう朝も良いもんだよ。毎日気を張っていたら参っちゃうからさ。それにアイシスは言ってたじゃないか。俺は自然体で良いって。だから俺は自分の欲望に任せてアイシスを抱いたんだ。健康な若い男性が魅力的な女性が横で無防備に寝ていたら襲うのが世の理だろ?」
「もう、そういう意味じゃないでしょ。肉欲に溺れると身の破滅だわ……。人生の堕落の始まりよ」
「人生の堕落? 多いに結構だね。今までドン底の人生を歩んできたんだ。絶望の淵を何度も見てきたさ。そのドン底の俺の人生に天使が舞い降りたんだ。少しくらい肉欲に溺れても罰は当たらないさ」
「うん? そうなのかな、そうかもね……。私のドン底の人生にもトキが光を当ててくれたわ。確かに少しくらいはこの幸運を噛み締めても罰は当たらないわよね」
「まぁ減り張りは付けるけどね。それより外に朝食を食べに行かないか? 美味しいご飯を食べさせてくれるお店があるんだ」
溜め息を吐くアイシス。
あれ? お気に召さなかったかな?
「今日は朝食は食べられないわ。もう昼食の時間よ」
壁にかかっている時計を見ると確かにあと少しで正午になる。
「でも素敵な提案ね。喜んで出掛けるわ」
「アイシスが気に入ってくれると良いね。昼食なら美味しい魚料理が食べられるよ」
「魚!? 確か不知夜国では生の魚を食べるのよね……」
「あぁそっか。ソレイユ帝国の帝都では生魚を食べる習慣が無かったね。でもしょうがないよ。そこまで生魚を運んだら腐っちゃうしね。この時間の魚は今朝水揚げされたものだよ。ほらここから東に半日ほど行けば海って教えただろ。新鮮な魚を馬車で運んでくるんだよ」
「私、魚はあまり好きじゃないんだけど……」
「おいおい、ソレイユ帝国の帝都で食べている物は魚なんて呼べる代物じゃないぞ。騙されたと思って一回食べてみな」
「いや、別に好き好んで騙されたくはないかな……。別に魚を食べなくても困らないし……」
食の好みを無理強いするのもなぁ……。
「わかったよ。他の店にしようか。あ、でもそれなら海水浴に行ったら食べる物がないぞ」
「え、そんなぁ……」
「じゃあ、一口だけでも良いから試してみれば良いさ。無理なら無理でその時考えよう」
「わかったわよ……」
明白に元気が無くなってしまったな……。
でもきっと気に入ってもらえると思うんだけど。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「なんなのコレ!? 意味がわからな過ぎる! プリプリして生臭くないわ!」
ほんの少し前に恐る恐るだが刺身を口に運んだアイシス。
それがいまや魚をこれでもかと口に運んでいる。
やっぱりこの天使は食い意地を司る神に仕えているんだな。
「ちゃんと噛んで食べなよ。消化に悪いからね」
黙々と魚を頬張るアイシス。どうやら俺の言葉が全く耳に入っていないようだ。
そして俺は店主に追加注文をした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「へへへぇ、幸せ過ぎて死にそうよ」
「さすがに食べ過ぎだよ。お腹が痛くなっても知らないからな」
それにしてもこんな細身の身体でよくあれだけの量を食べられるな。
結局、アイシスは三人分の量を完食した。美味しそうに食べるアイシスが愛らしくて、ついつい追加注文をしちゃったもんな。
アイシスの栄養不足を補うために気を使っているが、食べ過ぎは身体に悪い。今後は食事量も考えていかないといけないか。
「それよりアイシスさん、少し歩きにくいのですが?」
アイシスは俺の右腕に絡みつくように腕を組んでいた。
「別に良いでしょ。私も自然体にすることにしたんだから」
「まぁ良いけど、人が近づいたら離してくださいね」
「あれ? 恥ずかしいの? 案外可愛いところがあるのね」
「そうじゃないよ。一応、襲撃の警戒はしないとね。まだ情勢が流動的だから」
俺の言葉に真剣な顔になるアイシス。今日はいろんな顔のアイシスが見れる。
この表情豊かなのがアイシスの本質かもな。
「そうね。はしゃいでいる場合じゃないわね。気を引き締めていかないと」
俺はアイシスの両頬を抓り横に広げた。
「い、痛い、痛いよ!」
「アイシスは当分はしゃいでいて良いよ。今から気を張っていたら剣魔の儀まで保たないから。俺が調整するから大丈夫」
頬を摩りながら、涙目で俺を見るアイシス。
「わかったけど、頬っぺたを抓る必要があった?」
「うん? 全くないな。でもそこに抓りやすい頬があれば普通は抓るだろう? 自然体だからしょうがないな」
「もう! 何でも自然体って言えば許されるわけじゃないのよ! もう! トキなんて嫌い!」
「あれ? 君はアイシスだよね? 牛かと思ったよ。モウモウ鳴いているから……」
「もう! あっ……」
顔が紅く染まるアイシス。色白だから綺麗な紅色になるな。
「それじゃ行きますか、牛姫。あ、そうか。アイシスは牛姫だからあんなに食べるのですね」
アイシスは結構な強さで俺の尻を蹴り上げた。さすがに調子に乗り過ぎたな。
それに豪い殺気が前方から近づいてきている。
俺は立ち止まり殺気を周囲に撒き散らかす人物を待った。
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