尖った口
「ねぇー! 旧六大家ってどこなの?」
「櫻麻家、宵闇家、深更家、東雲家、曙家、暁家」
「今の六大家は?」
「櫻麻家が廃家して、代わりに有明家が入っている」
俺が夕食を作っている後ろで質問を繰り返すアイシス。
俺の事をもっと理解したいと言って、紙にいろいろとまとめている。
恋した女性に、自分の事をもっと理解したいと言われて何か擽ったい気持ちがあるが嬉しいもんだ。
「櫻麻家は罪人を取り締まる家だったのよね。他の家は何か役割りはあるの?」
「宵闇家が軍を統括している。深更家が祭祀を司る家。東雲家が星見と諜報。曙家が外交。暁家が内政。有明家は櫻麻家がやっていた法の番人」
「今の六大家筆頭当主は有明家なのよね? あの有明邸でトキと話していた若い男性が当主?」
「今の六大家筆頭は有明家だよ。俺の父である有明泰山が今の皇帝の剣魔の儀を手助けしたんだ。泰山は死んだけど、次回の剣魔の儀までは有明家が六大家筆頭だよ。そして俺と話していた青年が有明海斗。泰山の正室の子供だ。現在の有明家当主で俺の腹違いの兄。ちなみに泰山の正室は曙家当主の曙銀次の娘だ」
「曙銀次って? 昨日、有明邸の大広間で怒鳴り声を上げてた人?」
「そう、あの狒々爺」
「狒々爺って……。とても失礼だけど言い得て妙ね」
コロコロ笑うアイシス。その笑い声は俺の心の罅の隙間に、優しさを埋めてくれる効果があった。
そしてその後もアイシスの質問は続いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「こんな感じかしら」
俺から聞いた話のまとめが終わったようだ。
夕ご飯を食べた後も一生懸命書いていたからな。
それにしては良く纏まっているや。
時系列なんか無茶苦茶で話していたからなぁ……。
俺はアイシスが纏めた文面を確認した。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
【旧六大家】
・櫻麻家(犯罪者を取り締まる家)
・宵闇家(軍を統括)
・深更家(祭祀を司る)
・東雲家(星見、諜報)
・暁家(内政)
・曙家(外交)
【現六大家】
・櫻麻家の代わりに有明家
トキの曾祖父の櫻麻剛毅と曙家の先代当主がソレイユ国に不知夜国を売ろうと画策。
トキの祖父の櫻麻丈儀が友人の現宵闇当主の宵闇厳三と共に剛毅と曙家の先代当主とソレイユ帝国の工作員を叩き切る。
そのままソレイユ帝国の国境に設置されている軍営まで出向き、友好を結ぶ事に成功する。
友好を結んだ相手がソレイユ帝国現皇帝の叔父のライル・ソレイユ。
その後、櫻麻家の当主になった櫻麻丈儀。
ーーー空白期間ーーー
18年前に【血雪の夜】が起こる。
これにより櫻麻家とそれに連ねる家の者がトキの母親である櫻麻静だけになる。
【血雪の夜】は櫻麻家が外患誘致罪で断罪された形になっている。しかし本当は狂った男性が一人の女性を手に入れる為だけに起こした虐殺?
一応再興の道は形として残して櫻麻家は廃家。櫻麻静は櫻麻家の再興のために有明泰山の妾となる。
一年後トキが産まれるが、有明家に入らず、そして櫻麻も名乗れない状態になる。
トキは10歳になる三ヶ月前までは静の希望を叶える為に櫻麻トキで剣士登録をしようと思っていた。
またトキはこの時まで街の剣術道場で剣術を、東雲月読に魔術を習っている。
母親の女性の顔を見て衝撃を受ける。その結果、一人の雄として父親を超える事を目標にする。
トキは10歳を超えても剣士登録をしないで自己鍛錬に励む。
剣神大社の宮司から櫻麻家剣術奥義書を受け取り、櫻麻家剣術を復活させる。
泰山に血闘を申し込もうと考えてた矢先に泰山が毒殺される。
一週間後、静が曙銀次と櫻麻家の再興の約定を結んで殉死する。
トキは一年間喪に服す。
喪が明けて私と出会う。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
結構、大雑把に見えて実はしっかりとした性格なのかな?
それならやはりアイシスは魔術士に向いているな。
「良く纏まっているね。こうやって文章で見ると、より冷静に過去を見れるね」
少し自慢気な顔をするアイシス。
「それより空白期間について教えてよ。何か落ち着かないじゃない」
「今日はもう遅いよ。風呂にもアイシスは風呂にも入っていないじゃないか。今晩は終了だ。続きは明日」
俺の言葉に口を尖らしたアイシス。
お、こんな表情もするんだ。可愛いなぁ。
そんな内心を噯にも見せずに俺はおやすみと言って自室に戻った。
続きを読みたい方、面白かった方は下の星評価とブックマークをお願いいたします。星をいただけると励みになります。





