25話 第二次百鬼夜行編〜高天原突入〜
妖怪の隠れ里から、かつて月詠がショートカット用に配置していた、本来は月の一族しか知らないはずの裏口を悪用して高天原へと突入、そして——。
「多重憑依変生、長門、惑楽葉!!!呪怨領域、展開!!!」
高天原全体を瘴気で閉ざし、長門が捕捉した他の神々にも『神格が高い程に霊力が制限される』呪いを付与した。(巻き込まれた他の神々、正直スマン……)
——まぁ、そこまではOKとして……
「なんでついて来るんですか?師匠」
高天原に突入する前から、なんなら突入後もどういう訳か、十六夜師匠がずっとついて来る。
「勘違いするな、私は月詠様と直接敵対するつもりはない。だが、貴様の露払いか捨て駒くらいにはなってやろう。……それに、その……貴様には色々と迷惑をかけたからな……」
——意外!!!それはツンデレ!!!師匠、実はツンデレキャラであったか……
まぁ、そんな事はさておき、
「ありがとうございます、師匠……」
——ありがとう。それしか言葉が見つからない。
あの負けず嫌いで大人げない十六夜師匠が、自ら露払いか捨て駒になっても良いと言っているんだ。もはや負ける事は許されないだろう。
そして、たとえ俺が月詠を倒す事ができたとしても師匠と会うのはこれが最後になるかもしれない。
正直、俺としてはそんなのは当然嫌だし師匠に死んで欲しくもない。
だが——、
「もし俺が月詠を倒したら、酒でも奢らせてください」
——あるかもしれない未来に、ちょっとした予約を入れておくくらいはいいだろ?師匠。
「ならば、私はジャックコークを所望するッ!!!」
何故にジャックコーク!?そこは御神酒とかじゃないんかい!!!いや、別にいいけども!!!
▷▷▷
天照大神side
『一体どういうつもりなのだ月詠!!!事と次第によっては貴様でも許さぬ!!!貴様、御織女之神に何をしたのだ!!!』
——怒りのままに月詠を問い質す。
あの礼明とかいう小僧が言っていた『御織女之神が幽閉されていた』という話——、もしそれが本当ならば、我が弟であっても然るべき裁きを下さねばなるまい。
この件は、あの小僧の戯れ言だと一笑に付すには疑念が多すぎる。なぜなら、月詠には御織女之神を憎むだけの理由がある。
——御織女之神は確かに百鬼夜行を収束させて、陰陽界百夜に平和を齎した——、黒月様の犠牲と引き換えに、だが。
かつては荒御魂として高天原と敵対していた黒月様は、月詠と結ばれる事で人類の側に味方するようになった。
——当の黒月様がどう思っていたのかはもはや知るよしもないが、少なくとも月詠は間違いなく黒月様を愛していた。故に、御織女之神を恨んでいてもおかしくはない。
『一体どういうつもり……とは、何の事でしょうか姉さま?一体、どれの事を言っておられるのですか?』
『……ッ!?』
『あいにく、心当たりが多すぎて僕にはわかりません。御織女之神を幽閉していた事ですか?それとも、御織女之神の記憶と権能を抽出して、その力を利用する研究に使った事?あるいは……奪った権能で因果を紡ぎ直し、これから我が最愛の妻の死を覆す事ですか?』
こやつ、よもやそこまで狂って——、
『そして、貴方も既に用済みですよ姉さま——。闇に堕ちろ……』
——そのまま、うちの意識はそこで途切れた。
天照大神side 終




