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24話 第二次百鬼夜行編〜鉄血錆枯大砂界〜

晴華side


 ——怒りのままに目の前の影法師の群れへと飛び込み、力任せ勢い任せに蹴散らし斬り伏せる。


『氷はもうこぉり()ごりだ!!土管がドッカーン(土管)!!』


 ついでに唯さんの能力も活用して効率的に数を減らしていく。これはもはや無双ゲーの世界観ですね。

 影法師が凍りつき、言霊の効果によって出現した土管とともに木っ端微塵となった。


『ここに塀を作るんだ、へぇ~()竹やぶ焼けた(たけやぶやけた)!!!』


言霊で辺り一帯を取り囲む塀を造り出し、ついでに燃える竹林も出現させる。

 その間、道満の側からの反撃は全て身体を煙化する事でノーダメージ。ずっと私のターン!!!持久戦にはなるだろうけど、このまま押し切れば私の勝ちは揺るぎない——、途中まではそう確信していた。


「圧倒的物量差を前にこうも足掻くか……ならば、我も少し戦い方を変えるとしよう。森羅陣∶オオヤマツミ!!!」


 短い詠唱の後、道満は辺り一帯にトゲだらけの木を無数に召喚した。

 ——【森羅陣∶オオヤマツミ】、五行の【木】を用いた術のようですが……おそらく植物の召喚と操作系の技でしょうね。あいにく私の得意分野は【火】と【金】、力押しでいけばまだ勝てる可能性は充分にあります。


 道満の呼び出した木は自然界ではありえないくらい急速に成長して、あっという間に実をつける。

 ——次の瞬間、その木の実が榴散弾のように爆裂した。


『!?』


 私は身体を煙化して、すぐさま攻撃を(しの)ぐ。


「スナバコノキだ!!!そして貴様の煙の能力も、肉体を煙化する時は霊力を消費する。ならばこちらは、貴様の霊力が尽きるまで範囲爆撃を繰り返すだけで良い」

 

 完全に、してやられましたね……スナバコノキは暑く乾いた環境で実を爆発させて種を飛ばす——、つまり、私の【火】では逆効果。それどころか、先程の言霊で召喚した燃える竹林が裏目に出てしまった。

 このままではどう考えても、霊力が尽きるのは私が先になる……


「死ぬが良い……晴明の末裔よ!!!」


 道満の勝ち誇った声と共に、辺り一帯のスナバコノキが実を爆発させる。

 ——これは、正直マズい。私は脊髄反射で身体を煙化させてその場を切り抜けようとするが——、私の脚にいつの間にか異常成長したハエトリソウが噛みついていて、そこから霊力を吸収されていた。


『!?』


 これでは身体を煙化する事ができず、蜂の巣確定演出ですよマジで!?

 もはや万事休す(急須)は九谷焼……と、思ったけど一つだけ手はあった。どのみち失敗すればあの世行きは確定、迷っている暇などない。まずはこんな状況……覆してやる!!!


珠護導符(たまごどうふ)!!!』


 ——現代の結界術の元祖である【天生一族】の理論によると、結界術とは世界を隔てる術——、つまり、究極の結界術とは結界の内側を一つの世界とする事であらゆる干渉を拒絶する。それこそがこの【珠護導符(たまごどうふ)】の真骨頂。


「耐えたか……だが、珠護導符(たまごどうふ)は莫大な霊力を消費する陰陽道の奥義……そう何度も使える物ではあるまい?次の攻撃で終わりにしてやろう!!!」


 道満の言う通り、私はもはや霊力が尽きて碇丸(いかりまる)の力による強化形態を維持できずにいた。だが——、それはどうかな?私のバトルフェイズはまだ終わっていないぜ!!!


「いえ、終わるのは貴方の方です!!!」


 私はおもむろに碇丸(いかりまる)の刃で自身の左手首を軽く切り、たっぷりと出血させて地面に垂らす。


「何をする気だ!!!」


「鋼の血潮 鉄錆の色 枯れゆく大地 青銅の墓標 星の終わりの 微睡(まどろ)みの中 (つい)の住処を ここに定める……固有結界∶鉄血錆枯(てっけつさびかれ)大砂界(だいさかい)!!!」


 ——視界一面に広がる酸化鉄の地表、あらゆる生命を否定する広大な砂鉄の海だけが存在する不毛の地。私自身の心象風景を、道満の神域結界に上書きする形で展開する。

 鉄血錆枯(てっけつさびかれ)大砂界(だいさかい)の中では新たな命は生まれず定着しない。

 故に、道満の術によって召喚されたスナバコノキは急速に枯れ果てていく。


「剣製陣∶タケミカヅチ……」


 その後、固有結界内の砂鉄を取り込み五行の【火】で溶かして【金】で精錬する事により無数の剣を造り上げた。


「ここからはずっと私のターン!!!霊剣陣∶フツノミタマ!!!」


 ——行け、ソードファ○ネル!!!タケミカヅチにより生み出した剣を操り、道満に向けて一斉に放ち飽和攻撃を敢行する。


「忘れたか?我は不死。こんな攻撃では我を殺す事など——、ッ!?」


 どうやら道満も異変に気付いたようですね。ですが、ザマァ→もう遅い!!!

 私が使った【霊剣陣∶フツノミタマ】は、固有結界内の全ての剣に五行の【火】を(まと)わせて切断——、というよりは溶断能力を与え、さらに溶断面を【金】でコーティングして再生を阻害する二段構え。

 いくら不死といえども、傷の再生を阻害されれば弱るのは道理、ここからは私の霊力が完全に枯渇するまで付き合ってもらいましょう。

 タケミカヅチで生み出した剣の数が、瞬く間に分身体の圧倒的物量に追いつき、覆す。

 ここでさらに追い討ち。ドロー!!モンスターカード!!追加攻撃!!


「バナナの皮を踏んで転んでしまった、そんなバナナ!!」


「!?」


『お見事です晴華さん!!私の能力、しっかり使いこなしてますね!!』


 道満が盛大にズッコケる。当然本人の意思とは関係ない言霊の効果だが、その隙に容赦なく滅多刺しにする。そのまま串焼きにしてくれるわオラァ!!

 既に道満の手札は全て潰した。どうせ不死だから死ぬ事はないだろうけど、あとはなるべく深手を負わせて、可能な限り戦線復帰を遅らせるだけだ。


晴華side 終



▷▷▷




道満side


「見事……と言うべきか。我がここまでやられるとは……」


 霊力が枯渇して倒れ伏した晴明の末裔——、晴華を見下ろしながら一人呟く。既に我は満身創痍、本当に不死で良かったと心から思う。


「お久しぶりですね道満様……」


 ——憑依変生が解除されて、唯が我の前に姿を現した。


「唯……」


 ——あの時から一度たりとも忘れた事などない。

 我がまだ法師陰陽師(ほっしおんみょうじ)だった頃に、己自身の弱さを認めたくないあまりに捨てた我のかつての式神。我のエゴによって傷付けてしまった、唯一無二の相棒——。


「唯、ここはお前に免じて見逃してやろう。我の負けだ……その娘を連れて立ち去るが良い」


「道満様……」


 唯はしばし迷う素振(そぶ)りを見せたが、固有結界が消失した直後に晴華を連れてその場を立ち去った。


「よもや、二度も晴明の末裔に敗れるとはな……」


 陰陽寮が完全に制圧された以上、もはや奴らと争う理由はない。おそらく礼明は今頃、高天原へと攻め込んでいるのだろう。

 不思議と怒りはなく、我はすんなりと敗北を受け入れる事ができた。


道満side 終

 用語解説


珠護導符(たまごどうふ)


陰陽道の奥義の一つ。簡単に言えば、あらゆる攻撃を遮断する最強の結界術。

その性質は、結界の内側を一つの世界とする事であらゆる干渉を遮断する概念防御である。

反面、莫大な霊力を消費する為に何度も使えない上に展開時間も限られる。


【固有結界∶鉄血錆枯(てっけつさびかれ)大砂界(だいさかい)


晴華の切り札コンボパーツその1。自身の血を触媒として、周囲の環境を見渡す限りの砂鉄の海だけが存在する不毛の地へと強制的に塗り替える。これだけだとあまり意味がない。


【剣製陣∶タケミカヅチ】


晴華の切り札コンボパーツその2。

周辺の環境から砂鉄を吸い上げて、五行の【火】と【金】の力で無数の剣を造り出す術。

たたら製鉄による環境破壊を一個人の能力で行っているような物なので惑楽葉(わくらば)ブチギレ案件。主に鉄血錆枯大砂界とのコンボで力を発揮する。


【霊剣陣∶フツノミタマ】


晴華の切り札コンボパーツその3。

この術だけだと手持ちの武器に溶断能力と再生阻害効果を付与する事しかできない。

上で紹介した二つとのコンボで力を発揮する。

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つまり『ギャルにオギャる』なんて言葉を使ったら相手を尊厳破壊できると(ォィ そしてついにあの結界が!! 自分のネタが使われると、学研の漫画のキャラ応募にて出したキャラが作中に出たあの時を思い出す(ガ…
 真っ赤なドリルハンマーじゃなくて、ソードビットの陰陽五行バージョン!しかも理論上は無限発生。  道満の撃破には至らずとも、陰陽寮の制圧は完了、当初の作戦通りの陽動は成功。  さて礼明はその隙に高…
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