14話 天生同盟
リタside
ヤコと一時的に別行動する事となった私は、空を飛びながらもう一人の陰陽師と御織女之神を探す。
何を隠そう私は魂魄のみで時空を漂流し、独力で転生を繰り返した過程で得た力を全て自分の物として使う事が出来る!!(ドヤァ✨)
この飛行能力もその一つ。
簡単に言えば、今まで蓄積した他の世界線における自分自身の経験や技術を、いつでもどの世界線でも使えるって事。
要するに経験値の引き継ぎや、俗に言う『強くてニューゲーム』ってやつ〜……
まぁ、転生先の世界線における法則などの影響で多少のデバフ受ける事もあるけど。
「見つけた〜……って、なんかピンチっぽい?」
やはりと言うべきか、御織女之神は既に連れ去られた後。
そしてもう一人の方も既に陰陽師連中に包囲されていた。
とりあえず、今助けられる方だけでもなんとかしようか——。
「雪崩早葬!!!」
魔法で招来した雪崩の質量攻撃による氷属性と物理属性の私オリジナル魔法。
さらにダメ押し!!!
「暴風狂嵐の蒼翼!!!」
辺りの環境を一瞬で吹雪に塗り替えて、サクッと陰陽師連中を制圧〜……
「う……あなたは……?」
って、しまったァァァァ!?
辺り一帯吹雪にしたから救出対象のコも凍えてるぅ!?
「とりあえず私は味方だけど、話は後!!あなたの兄さんの所に急ぐよ!!」
↓
「というのが事の顛末でございます…………ハイ……」
ヤコ達と合流後、私は吹雪で凍えた晴華さんの応急処置をしながらヤコに無言で頬を引っ張られている。
あれ?私また何かやっちゃいました?(反省)
リタside 終
▷▷▷
天生同盟の2人目、リタの活躍により晴華が無事に戻ってきた。
どうやらまだ、俺達の戦いは終わらないようだ。
「助けてくれてありがとうな」
一応、俺は2人に礼を言っておく。こいつら天生同盟の目的はまだはっきりとわからないが、ひとまずは協力してくれるようだからその厚意には素直に甘えておこう。
それに、この2人の協力がなければ俺達は誰一人として助からなかった事もまた事実だ。
だが、経絡を既に失った今、どうすればいい?
俺は生まれつき経絡に異常があるようで、神々から授かった擬似経絡無しでは陰陽道を使えない。
なんでも、『先天性経絡異常症』という病名が付いてて安倍家の陰陽師には時々見られる症状らしい。
今まで俺が落ちこぼれ扱いだったのも主にこの病のせいだ。
この病があった故に晴華が生まれた時点で両親から見放され、ロクに期待されず、常に劣った存在として扱われた。
そして今や、擬似経絡すら失った。ミオリを救う事を諦めるつもりは微塵もないが、もうどうすればいいのかわからない——。
「ちょいと失礼〜……」
唐突にリタが俺の額に手を当ててきた。
「やっぱりね〜……病気というか血統に由来する呪いのような物か、経絡がマトモに機能してないね〜……こりゃあ、ちゃんとした霊媒治療受けないと」
「っ!?」
こいつ、今ので俺の病を見抜いたのか!!!
「流石だなリタ…………治せるのか…………」
ヤコが無表情でそう呟いた。狐耳のようなアホ毛が揺れ動く。
「いや?治せないけど〜……?でも治せる存在を知ってる」
……………………はい?
「そうか…………残念だ………………」
心なしか、ヤコがリタに向ける視線が冷たくなった気がする。
「もうやめて!!私のライフはとっくにゼロよ!?」
なんかリタが勝手にオーバーキルされてるが、それはさておき…………
「さっき、治せるやつを知ってるって言ったよな?そいつはどこにいる?」
俺はそう尋ねる。正直、こいつらはどこまで信用していいのかわからないけど、それでも目の前の情報に飛びつくしかなかった。
「そのヒトの名は、『九重 十六夜』……妖怪の隠れ里に住んでる。詳しくは直接会って確かめるといい」
「そして一番肝心の、妖怪の隠れ里に行く方法だけども『まず案内人を探す事』、その後に『亰都の伏見稲荷大社の千本鳥居を時速120キロ以上で走り抜ける事』、いいかい?先に必ず案内人を探すんだよ?」
リタはそれだけ伝えると、ヤコと共にその場を去っていった。
『案内人』、『時速120キロ以上で千本鳥居を走り抜ける』……
なんだろう?なんか既に、少しだけ心当たりがあるんだが?




