第6話 真っ白な場所で出会う女
「今のが氷系の下位魔術じゃな。」
「うっ」
おそらくこの国魔法の中では一般的な魔法だったのだろうが、魔法とは縁のない直登には心躍る光景であった。
「そして今のが呪文じゃ、今のは〈躁魔・承氷之煌〉
〈躁〉とは、魔術の強さを指しておる。
魔術の強さは〈躁・奇・天・界・豪〉の順で強くなり、
〈躁魔〉は初級魔術と言える。
そして、〈承氷之煌〉の〈氷〉の部分が魔術の属性を表す、最近では魔術の属性も派生が増え、かなりの種類になっている。
例えば、躁級の炎系魔法の場合は〈躁魔・承炎之煌〉となる。」
「なるほど。案外単純ですね。」
「そうじゃ、術ごとに変わる呪文ではないからの。あくまで、必要な魔力量と種類を引き出すための呪文じゃ。後は術師のイメージ力によって多数の魔術を扱うことができる。」
「なるほど、よくわかりました。」
「では、そうじゃな。まずは、先程の氷結弾の炎版、〈火炎弾〉を作ってみよ。呪文は〈躁魔・承炎之煌〉じゃ。」
「えっいきなりやれと言われましても..」
「魔法はセンスと慣れじゃ。まずはその繋ぎのネックレスを強く握りしめよ」
直登はアリダラに言われネックレスを強く握りしめる。
「フィルス神とのつながりを意識し、魔力の一部をもらい受けるイメージを強く頭に持ち詠唱するのじゃ。」
(頭でフィルス神との繋がりを強くイメージして詠唱...。)
「躁魔・承炎之煌!」
・・・・?
直登ふと周りを見ると、そこは真っ白な世界、
そう、直登が空間の裂け目に引きずり込まれたときに来た場所。
「なぜ、またここに・・?」
そして前回と同じ白く透けている金髪の女が現れる。
「また来たのですね。悲しき者よ」
女は直登を見るなり「悲しき者」と呼んだ。それを聞いて直登は思う。
確かに元の世界からいきなり転移して右も左もわからない状態だが、いきなり悲しい者と決めつけられることは気分が良くない。
「確かに大変な状況だけど、助けてくれる人もたくさんいるんだ
一概に悲しい人間だと決めつけないでもらいたい。」
「全ては愚かな人間の私利私欲のために起きてしまったこと」
「俺の転移がか?うっ」
またもや直登の足元の地面がぬかるみ、直登は沈み始める。
「おい、俺のことを知っているなら教えろ。」
「今はまだその時ではありません。」
「くそっ、また」
直登はどんどんと沈んでいく。
「与えた加護は不安定のようですね。安定させておきましょう。」




