第3話 ヘリオサマナという戦士団
外に出るとそこは荒野が広がっており、兵士の天幕が複数設置されている。
「そういえばぬし、名は何というんじゃ。」
「直登と言います。」
「おお、ナオトか。わしはアリダラ、ヘリオサマナの団長をしておる。」
「へりおさまな?」
「戦士団の名じゃ。フィルス教保守派には多くの戦士団があり、戦の時は複数の戦士団が集まり戦っている。」
「へぇ..」
「この後方部隊はダグラスの一団がまとめていたんじゃが、後方部隊に魔術師のいる戦士団がいないので、わしたちが呼ばれたんじゃ。」
「魔法..はみんな使えるんですか?」
「いや、魔術自体は習得するのに才能と努力が必要で使える者は多くない、戦士団を見ても3つに1つの戦士団に一人いるかどうか、と言ったところじゃな。」
「そうなんですね。」
「じゃが、フィルスアリアの国民は一様にフィルス神の加護によって魔力を持っており、魔術を扱えなくても、身体能力や生命力などが向上しておる。」
「そのフィルス神というのは?」
「フィルスアリアの守り神として崇められている神様じゃ。このフィルスアリア国民は全員、フィルス神の教えを絶対とするフィルス教の宗教国家じゃからな。」
「では、なぜその同じ神様を信じる国民たちが戦いあっているんですか?」
「それは当然、国軍革新派のやつらがフィルス神の教えに背く考えをしておるからだ」
「フィルス神の教えに背いた?」
「そうじゃ。フィルス神の教えは、
〈加護の力は、自らやその仲間を守るため、その生活を豊かにするために使うもの、私利私欲の為、他社を害する為、不必要な繁栄の為に使えば、必ずその報いが起こる〉
これが、加護を受けた時より言い伝えられたこの国の伝承じゃ。
だが奴らは国政を牛耳り、他国へ魔法の力を、まるで商品かのように宣伝し、敵対する国を魔法の力で攻撃した。まさに破滅の道じゃ。」
「他社を害し、不必要な繁栄を望んだ。ということですね。」
「その通りじゃ。」
この国では唯一神として崇めるものが大前提としてあるため、それを巡った内戦状態が続いているようだった。国家の本流はフィルス神の教えを守らず、自国の更なる繁栄を望んでおり、直登が保護されたこのフィルス教保守派は、その反発勢力で、勢力では圧倒的に国軍革新派に軍配が上がっている状態の様だ。
直登はなぜ神様は教えに背く者たちから加護とやらを取り上げないのだろうか。や、神様とはそもそも存在するのかなど疑問に思ったりもしたが、今はそんなことを深く考えている暇はなかった。
直登はとにかく早々に妹,柚希との合流と、日本への帰還をしなければならない。と、気持ちを固めるのであった。
その後、直登はヘリオサマナのメンバーたちの紹介を受け、ヘリオサマナの天幕にて休むこととなった。この戦士団の天幕は大きく、その人数も20名くらいのメンバーがいた。
「本当は他にも数人いるんだけどね。」
隣に座り、気にかけて色々と喋りかけてくれるこの隊員はミリスといい、綺麗なストレートの黒髪の同い年くらいの女性だった。
「ミリスさんも戦士なんですか?」
「うんわたしも戦士団の一員ではあるんだけど、魔術師見習いでね。アリダラ様の弟子なんだ。
それと、ミリスでいいよ。歳も近いんだし敬語じゃなくていいよ」
「あ、はい。わかりました。ミリス
それともう一つ聞いてもいいですか?」
「敬語ーー」
「はは、慣れるまでは勘弁して...」
「それで聞きたい事って?」
「この天幕には小さな子供もいるみたいだけど、あの子たちは?」
「ああ、あの子たちね。こんな西のはずれの僻地でもね。住んでいる人たちがいるからね。アリダラ様は逃げ遅れた子供たちを保護しているよ。」
「イリナ、ルミナ、こっちへおいで。」
ミリスは少女2人を呼んだ。
「イリナ、ルミナ、お兄ちゃんに挨拶したの~?」
「こんにちは。」「こんにちはぁ。」
二人の女の子はそういうと直登にぺこりと頭を下げた。
「この子たちはね、人より多くの魔力を持ってるって、魔術師の才能はアリダラ様のお墨付きなんだよ。」
「へぇ、すごいんだね。」
「本当に...嫉妬しちゃいそう。」
直登が二人の女の子の頭をなでると、少し照れ臭そうに微笑んだ。
その顔を見て、妹の顔を思い出す。




