表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/19

第1話 空間の裂け目に引きずり込まれて..

窓から差し込む朝日で彼は目覚める。


いつもと同じ平穏な朝だ。


一息ついて重い腰を上げる。廊下に出て隣の部屋を覗くと小4の妹が無防備に口を開けて寝ている。


その姿に口元が緩みながらも、洗面台に行き歯ブラシをして顔を洗う。


慣れた手つきで二人分の朝ご飯を作り、妹を起こしに行く。


「ゆずー?起きろー?ご飯できたぞ。」


妹の柚希は目をこすりながら部屋から出てくる。


「おはよぉ。お兄ちゃん。」


「おう、おはよ。」


妹はふらふらと歩きながら椅子に座り味噌汁を一口すする。




食事を終え、学校に登校する妹を見送る。


「じゃあお兄ちゃん行ってきます!」


「はいよー、いってらっしゃい。」


子供の朝は早いなぁ。そんなことを考えながら、彼は仕事の準備を始める。


なんてことのないいつもの日常、いつもと変わらない日の始まり。


・・のはずだった。




彼の名前は上瀬直登。


直登には両親がいない。母は4年前に病気で亡くなり、父はその1年後蒸発した。3年前、直登16歳、柚希6歳の時のことだった。


父いなくなった後は山形に住む祖父母が直登たちが住む千葉まで来て、面倒を見てくれた。


だがいつまでも千葉にいてもらう訳にもいかなかった。


兄妹が祖父母の住む山形に移り住む話しもあったが、二人で千葉に残ることにした。


直登自身の気持ちもあったが、一番は両親を亡くした柚希を友達とも離れ離れにするわけにはいかないと考えた末の決断だった。


生活費は祖父母が援助してくれていたし、直登も高校卒業後仕事に就いたので生活は安定していた。




直登は仕事を終え帰路につく、自宅の前まで到着すると、柚希が自宅前で遊んでいた。


「お兄ちゃんおかえりー!」


柚希は嬉しそうに話しかけてくる。


「ただいま。荷物置いたらスーパーに買い物に行くけど、ゆずも一緒に行くか?」


「うん!いく!」


「じゃあちょっと待ってな」




家に荷物を置いて、服を着替え、直登は柚希とともに買い物に出かけた。


その出来事は帰り道に起こった。




「お兄ちゃん、お腹すいたよぉ」


「家に帰ったらすぐに作るから、もう少し我慢しててな。」


そんな会話をしながら歩いていると、バリバリバリと地響きのような轟音が鳴り始める。


「きゃっ」


「なんだ!?」


直登は抱きつく柚希を抱えながら、周りを見渡す。


すると、更なる音を立てながら、二人の目の前の空間が歪みはじめ、亀裂のようなものが入り始める。


「なんだ..?これ..」


何もないはずの空間に亀裂が入り、その裂け目に吸われるように二人の体は引っ張られていく。


「くそどうなってんだ。ゆず、つかまってろ!」


「お兄ちゃん!怖いよー」


直登は後ずさりしながら抵抗するが、吸われる力があまりに強く、そのまま二人は空間の裂け目に引きずりこまれてしまう。


「うわあぁ」




そこは何もないただの真っ白な空間、そこに直登は一人で立っている。


「ここはどこだ?ゆずは?」


周りを見渡すが周りには何もない。ただひたすらに真っ白な地面が続いているのだ。


すると目の前に白い服をまとった金髪の女が現れる。


「誰だ!」


その女は不思議なことに宙に浮いており、体は半透明に透けている。


人の形をしているが人外のものであることは明らかだった。


「悲しき者よ..」


「俺を引きずり込んだのはあんたか?」


「いえ、私ではありません。あなたはただここを〈通った〉だけ。」


「どういうこと?...うわっ」


今度は直登の足元が沈み始め、真っ白な地面に落ちていく直登。


「なんだこれ、おい!」


直登は手をばたつかせるが徐々に地面に吸い込まれるように沈んでいく。


「人間とはなんと愚かなことでしょう。あなたも慎み、そして幸福を願えば加護を受けることができるでしょう」


そして、直登は完全に地面に落ち、姿が見えなくなってしまった。




そこは異世界のとある国「フィルスアリア」


このフィルスアリアでは現在、国家が2つの派閥に分かれ、内戦が続いている。


そしてここはフィルアリア西方の僻地「アルバポリス」、国軍革新派とフィルス教保守派の領土境の地。


ここでは国家の第一派閥である国軍革新派が、劣勢を極めるフィルス教保守派を攻める真っ最中の戦地だ。


このフィルスアリアにはフィルス神という神を信じ崇められており、この国はフィルス神の加護を受け、世界で唯一、魔法が存在する国である。




この戦場でも魔術師による炎が飛び交い、氷が降り、暴風が発生する戦となっていた。


戦は長期化し、均衡状態となってきたある日、戦地にいる兵士たちは戦場の上空に不可解なものが現れたことに気付く。


「なんだあれは..?」


「何かの魔法か?」


それは両軍どちらの兵士からも疑問の声が上がり、両軍は身構えた。


不可解なものとは、両軍の戦場のちょうど中間地点、その遥か上空の空間が裂けているような亀裂が入っているように見えるのだ。


しかも一つではない。その亀裂は並ぶように6つある。


そしてその亀裂の隙間から光り輝く何かが出てくるのが見えた。


両軍の兵士はそれを見上げながらざわつく。




すると次の瞬間、亀裂の隙間から見えた光の玉はそれぞれ四方へと飛び散る様に消えていったのである。


それと同時に空中の裂け目も消え、まるで最初から何もなかったかのような静寂が続いた。


「いったい何だったんだ。」


「何かの魔術かもしれない。気を付けろ」


戦場には様々な憶測の声が飛び交った。




〜次話に続く〜

1話目の投稿です。ご興味いただいた方はブクマいただけると幸いです。

正直な感想もぜひお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ