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キャラバンの騎士  作者: エンク
第一章 なりそこないたち
8/21

俺はただ使命を果たすだけだ 『カウロス』

「これで終わりだバルバトス、この売国奴め」


そう呟きながらカウロスはクララを睨み命じた


「次の一斉射撃で動きを封じた瞬間を狙うんだ外すなよ!」

「了解!」


「弓隊!第二射用意!放て!」


盗賊陣からまた弓による統制射撃が放たれる、最初の射撃とその後の散漫的な射撃によりクララは動きを封じられて距離を詰められずにいた


「思ったよりおつむは悪くないのね」


クララは平然としていたが、状況はかなり悪い


するとクララが唐突に叫ぶ



「団長!!限界よ!!」

叫んだ瞬間、バリスタの矢が放たれる


クララの盾になった死体を簡単に貫く威力の矢が向かってくるが、矢は盾に到達する前に叩き落とされた


金色の髪をした少女によって



「団長じゃなくて悪いわねクララ、代打できたわよ」


高い声色で、不機嫌そうなしゃべり方をする少女を見て少し驚くと

いつもの笑顔でクララが答えた


「あらミリー、団長はどうしたの?」


ミリーと呼ばれた少女は答える


「すぐそこよ」


ミリーが指をさした先は、山脈の岩場


外壁ほどの高さがある崖から、見下ろすよう20名程を率いたシーンがたっていた


するとシーン達は崖からロープで滑りおりて、盗賊弓隊のすぐ後ろに迫る


「シーン・タブラか!」


カウロスが気づくが、すでに弓隊の多くは倒れており


シーンが最後の一人を切りふせると、カウロスに返事をした


「久しぶりー、元気そうだねカウロス」


「貴様も相変わらず気持ちの悪い男だ、今度は一体何を考えている?」


カウロスが剣を抜いて構える、そして質問をしたカウロスにシーンが返答をした


「僕は傭兵の仕事をしてるだけさ、君こそ」


いつもの態度のシーンだが、少し低い声で続けた


「一体どこのバカにそそのかされたんだい?」


シーンの殺気のようなものを感じたのか、カウロスは一筋の汗をたらし静かに答えた


「戦いを求めてる者は多い、そして納得できない奴等もな…俺はただ使命を果たすだけだ」


「ならもう話す事はない、君は今でも騎士なんだね」


「…元準騎士だ」


二人の間に交わされた会話は少なかったが、お互い交わる事はない思想と感情を理解し


再び二人は剣を構え直した


「シーン・タブラ、覚悟しろ!」


「来い!!カウロス!!」


カウロスが馬を蹴りあげシーンに向かって走る、そのカウロスをまっすぐに見据えるタブラが低く構える


「「はぁあああああっ!!!!」」


二人の距離がお互いの剣の間合いに入った瞬間一撃が

交わされた


シーンの肩をギリギリ掠めたカウロスが馬上から倒れた


カウロスが起き上がると馬の首は落とされていて、カウロス自身が反射でかわした事に気づく


かわさなれば、自分の腹が切られて致命傷になっただろう


そんな一瞬の出来事にカウロスは少しの恐怖と興奮を覚え、今度は自らの足でシーンに向かって間合いを詰めていく


「貴様にはここで死んでもらうぞ!」


そう言ったカウロスは一気に間合いを詰め、シーンに剣を振り上げる


寸前でかわすシーンは、そのままカウロスの後ろにまわって剣を背中に突き刺し


カウロスは膝から倒れた


「き…さま…の、ぁッ、か…ちだ」


「ああ」


「き…さまに…これを」


「?」


瀕死のカウロスが懐から、血のついた紙を取り出して

シーンに渡した


「どう…つかうか…きさまらが…」


最後まで話すことが出来ず、カウロスは意識を失う

シーンがその紙を納めて周りを見渡すと前衛の盗賊たちはほとんど残っておらず、数多くの死体と戦意を失っている者、そして逃走している者達がほとんどであった


クララとミリーによって前衛はほぼ全滅、後衛はすべてシーン達の奇襲で始末されて


盗賊団全体の3割が壊滅した


すると更に後方から騎馬がやってきた、身なりはよくカウロスと同じ類いの若い騎士のような男たちが7騎程やってきた


剣を抜いてない騎兵たちに首をかしげるシーンを、合流したクララとミリーが守るように前に出て構える


すると少し離れたところで騎兵たちは止まり、シーンに告げた


「カウロス様を渡してもらいたい、シーン・タブラ殿」

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