表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キャラバンの騎士  作者: エンク
第一章 なりそこないたち
19/21

叔父様、どうやら私たちも… 『リリーナ』


ノリスの鉄鉱石の集積所の場所はノリスの城壁の側にあり、馬車で行くと複雑な町の構造故に農作物の集出荷場から1時間ほどかかってしまう。


なのでムーロンは徒歩で直線の狭い道を通り、買い付けだけを最速でこなす方法をとった。


だが、ムーロンが着く頃には。集積所の鉄鉱石の7割がカナル商会に買約されていた。


「はえーなやっぱり…」


頭をかくムーロンに声をかけたカナル。


「はぁ…はぁ…はぁ…、見たか…ムーロンとやら…はぁ…私の…はぁ…勝ちだ…」


今にも倒れそうなほど息を荒くするカナルを見ると、相当な無理をして近道をしたかが伺える。


カナルは幼き頃からこの都市で過ごした土地勘があり、この都市の『よそ者』に容赦無い町の造りが相まって


カナルとムーロンの競争はカナルの圧勝に終わった。



カナルは息を整えると、ムーロンに向かい直し言いはなった。



「見たか!私にこの街で勝てると思うなよ!貴様らのような高貴な生まれの者どもに負ける筈がなかろうて!」


「俺は平民だってーの…。もういいや…カナル会長…俺は帰るが、あんたは鉄鉱石の捌きかた考えとけよ…じゃ」



「?」



ムーロンの言葉を疑問に思いながらも、カナルは鉄鉱石を後から来た馬車に積めて行く。


そうしているうちにある人物がやってきた。




その人物とは、この都市の盟主ウェンバリーズ卿。



ウェンバリーズはカナルの貨物を眺めながら、カナルに問いかけた。


「カナル殿、貴殿はこの鉄鉱石をどうするつもりか?」


「これはウェンバリーズ卿、あなた様も知っているのでしょう?バルバトスが仕入れに来たと。」



ウェンバリーズはいつもの無表情でカナルの方を向き。

カナルの言葉にきょとんとした声色で答えた。


「はて?」


「…」


カナルは思考する。バルバトスが大規模な国政的理由の買い付けを、この都市の盟主ウェンバリーズに相談していないわけがない。つまりは



リリーナにはめられた。と


「青白い顔をしてどうしましたか?」


心のそこからどうでもいい顔をしながらウェンバリーズは言った。そしてどうでも良くないことを聞く。


「貴様、これだけの鉄鉱石を買う金がよくあったな。去年の納税額が少ないのではないか?ん?」


さらに青ざめる



「貴様の商会の金庫を改めた上で、差し押さえさせてもらうぞ。手始めにその鉄鉱石は置いていってもらおう。」


完封



リリーナ達が思うよりも早々に完封してしまった。


カナルの裏金は鉄鉱石に成り代わり、裏稼業の収益も今後堂々と調査される事になってしまった。


膝から崩れるカナルに、声をかけたのは


遅れてやってきたリリーナ達であった。


「ほんとバカね、あなた。なんで騙されるのよこんな分かりやすい手に。」


力なくカナルは答える。


「金が…金が必要だったのだ…、私が爵位を得てこの国で成り上がるにはな…」



「いずれあなたの悪事もすべてバレるわよ、違法薬に奴隷売買…どれも極刑は免れない罪よ!」



怒りを表すリリーナにカナルは困惑する。


「な、なんだそれは…?!私はそんな商売はしとらんぞ!調べればわかる!私はただ税金をちょろ…オッホン!ゲホッ!」



「?」


リリーナはこの後におよんでカナルが嘘をつき、極刑を免れようとしていると思ったが。どうにも腑に落ちない点が一つあった。


それは今回の騙し討ち


カナルは早々に引っ掛かり、金を出した


真っ当な取引をするために。





それはおかしい。




奴隷売買や違法薬の利益がカナル商会に入っていたのならば、このような取引に参加するのは無駄


あるいは蛇足


裏稼業で十分な利益が上がっていれば、そもそも介入する必要性があまりないのだ。



それでもリリーナはカナルを何とか挑発と目先に金を釣り、罠にかける算段であったのだが。


あまりにもあっけなさすぎる。




「これは、厄介ね」



リリーナは呟き、ウェンバリーズを見ると目があった。


「叔父様、どうやら私たちも…」


「…ああ。はめられたな」



リリーナは向かわせたシーン達の状況を気にしながら、集積所の扉に向かって歩く。


「ミローネ、ごめんなさい」


「?」








「シーン団長を迎えに行ってあげて」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ