遠慮するなよ、叩き潰せ 『ウェンバリーズ』
「リリーナと君たちに頼みがある」
そう言ったウェンバリーズはいつもの無表情だったが
その目には静かに怒りの炎を宿していた。
そんな叔父に気圧されたリリーナだったが、意を決してその頼みについて聞き出す。
「叔父様…頼みとは?」
するとウェンバリーズは静かに話し始めた
「最近カナル商会の動きが派手でな…その対処を頼みたいのだ」
「カナル商会ですか…」
聞き覚えのある名に眉間を押さえるリリーナを見て、シーンは質問をした。
「カナル商会って?」
「悪い噂の絶えない商会よ。奴隷売買に違法薬の製造販売、土地を買収するために地主に嫌がらせをしたりするって噂をよく聞いてるわ。」
「盗品の売買をしていたら100点満点だったね」
「盗品の売買もよ。おまけに体臭もひどいから120点のクズ野郎ね…失礼」
少々口調が荒くなるリリーナに、ふっと笑うシーン。
するとウェンバリーズがその問題についての詳細を話し始めた。
「その悪評の大体が本当の事だ、決定的な証拠が存在しないがな。私の部下達にも調べさせてはいるが、証拠を探すどころか何名かが負傷して…こないだは1人が殺された…」
そう語っているウェンバリーズの拳が震える。
「ノリスの皆が 奴らに脅かされている。私含めてな。向こうには手練れも多く正面から戦えば我々の被害も大きくなる、そうなると他の貴族にノリスを奪われかねんからな。」
「それで僕らは何をすれば?」
「引き受けてもらえるのか?」
少し驚いた表情をしたウェンバリーズに、シーンは少し微笑んでこう答える。
「引き受けますよ。雇い主がやる気満々のようですしね」
リリーナは立ち上がり、怒りに震えたような表情でウェンバリーズに聞く。
「あの商会は調子にのり過ぎたみたいですね。私達が皇国を出るときにも妨害を受けて馬車を何台か駄目にされたわ。借りを返す良い機会です、どこまでやってよいのですか?」
リリーナの方を向いてニヤリと笑い答えるウェンバリーズ。
「遠慮するなよ、叩き潰せ」
リリーナの口角も上がり、少し高揚した声で答える。
「おまかせを、叔父様。奴らの居場所などこの都市から板一枚も残さず奪い取りましょう」
互いに悪人面で笑い会う二人を見てクララは呟く
「やっぱり似てるわね、この二人」




