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キャラバンの騎士  作者: エンク
第一章 なりそこないたち
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よく帰ってきたなリリーナ 『ウェンバリーズ』

飾り気はないが広い大広間


暖かな色をした木床は塵ひとつ落ちておらず、手入れが行き届いていることが伺える。


使用人たちはテキパキと動いて支度をしているが慌てているようには見えず、洗練された優美さを感じさせる動きであった。


ウェンバリーズ卿の館


都市の中央にある邸宅で、ウェンバリーズの寝床とノリスの軍事と領事の中枢を司る


いわば辺境伯の城である。


とはいえ館なので城のような城壁や立派な塔などはなく、館自体大きくはあるが城塞都市の代表が住むには心もとなく思える造りではあった。 




ノリスにたどり着いたリリーナ一行は、その館で無事の帰還を祝うささやかな催しに参加していた。参加者はリリーナ達とウェンバリーズ卿とその部下数名に、館の文官たちなどの面々で密かに開催された。



「ウェンバリーズ卿、この度はお招きありがとうございます」


礼装は着ていないものの、上品な挨拶をするリリーナ

ウェンバリーズ卿もその礼を返し挨拶をする。


「この度のご帰還、大変悦ばしゅうございます姫様」

「もう、あまり堅苦しくしないでください」


リリーナの口調がいつも通りの少し砕けた感じになると、お互いにふっと笑みをこぼして話し始める。


「よく帰ってきたなリリーナ」

「はい、叔父様」


シーンがその会話を聞いて目を丸くしながらクララに話しかけた。


「おい聞いたかい?クララ…クララ?」

振り向くとクララはワイングラスを傾けて団員のミリーと料理に舌鼓を打っている最中で、とても会話を聞いているようには見えなかった。


「ミリー、ここのワインはやっぱり絶品ね。占領したときに離れるんじゃなかったわ」


「ぶぇー!どこが美味しいのよワインなんて!葡萄そのまま食べたほうが美味しいに決まってるわよ!」


聞いてないどころか、所々危うい会話をかわす二人にシーンはこめかみを押さえる。


するとリリーナとウェンバリーズはいつの間にかクララ達の近くに寄り声をかけた。


「うちのワインがこれ以上旨くなくて良かった、バルバトス殿がノリス居なかったお陰で取り返せたからな」


「あらウェンバリーズ卿。前に飲んだ時より美味しいわよ、また占領したくなっちゃうくらい」

ウェンバリーズはニヤリと笑いこう返す

「今度は取らせんよ、諦めて自分で買うといい」


かなり危うい挑発を軽くかわすウェンバリーズ卿にリリーナも吹き出し大笑いしていた。


「あっはは!相変わらずだわ叔父様は!」

「あら姫様の身内だったの」


リリーナの口から再び発せられた叔父という単語にも驚きを見せず、クララは納得した。


「姫様と目元がそっくりだわ」


斜め上の感想に周囲は呆れるがリリーナとウェンバリーズだけはお互いを見て笑い「そうかもしれませんね」「たしかにな」と和やかな会話をしていた。


宴は意外にも平和に盛り上がり、夜もふけっていく


ひとしきり料理などをそれぞれが楽しむと、リリーナとシーン達は別室でウェンバリーズとの会談をはじめていた


「まずは君たちに改めて礼をいいたい。リリーナを…大事な姪を守ってくれてありがとう」


深々と頭を下げるウェンバリーズ卿の態度には曇りない感謝の念が伝わってくる。その様子にすぐさま声をかけたのはシーンであった。


「ウェンバリーズ卿、我々はしがない傭兵…そのように頭を下げずとも礼ならば姫様自身から受け取っておりますゆえ。どうか頭をお上げくださいませ」


普段とは違う口調に若干戸惑うリリーナも「叔父様…」とそっと声をかけてウェンバリーズ卿の頭を上げさせた。

頭を上げてしばらく沈黙を破ったのはウェンバリーズ卿


「礼を言ってなんだが、これは今回の本題ではない」


ウェンバリーズ卿の顔がいつもの無表情に戻ると、静かに本題について話し始めた。


「リリーナと君たちに頼みがある」

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