外伝 変革者たち
「死に損なったか…」
寝台で目覚めたカウロスが天井を見つめていた。
自身の身体をゆっくりと確認して上半身をおこすと、部屋の隅に自身の部下が椅子に深く座り寝ているのを目にしてそっと声をかける。
「ベルナルド」
「…カウロス様、申し訳ありません」
ベルナルドはすぐに目を覚まし、カウロスに起こされたことに謝罪する。カウロスは「よい」と右手をかざし、続けてベルナルドに質問をした。
「状況はどうなってる?」
「説明いたします。リリーナ商会の別動隊は海軍総督の部下との交渉を終えて本隊と合流、交渉は成功したようです。交易ルートは不明ですが、帝国国内の陸路を使うとは考えにくいので海上ルートでの迂回による航路が濃厚でしょう。」
「最悪の組み合わせだな、今回の件で帝国は皇国にかなりの差をつけられた。」
「帝国海軍は帝国の敵になったのでしょうか?」
「いや、奴らが占領した植民地の特産品を買いとっている内は敵にはならんだろう。味方とは言えないがな」
「売国奴どもめ…」
悔しそうに拳を握るベルナルドに、カウロスは少し視線を落とし沈黙する。
そして窓の外を眺めながらつぶやいた
「我々も同じようなものだろう」
カウロスの呟きに、ベルナルドは握った拳をゆっくりと開きカウロスに言った。
「そうですね…我々の目的は帝国の変革。現皇帝の権威の回復、腐敗した貴族達の粛清。多くの帝国民達の犠牲にしなければならないこともあるでしょう。皇帝陛下の助力も望めない非公式の大粛清…」
「我々はこの国でいったい"何"になるんだろうな」
「大盗賊団にでもなりますか?」
「お頭ってよんでくれ」
最後に冗談を言い、二人は少し笑い合う。
そして少し時間がたち
カウロスは新しい軍服に着替えてベルナルドに指示を出した。
「ベルナルド、今晩休んだ後に公爵領に向かう。部下達に支度をさせておけ」
「かしこまりました、ですが明日立つのになぜ着替えたのですか?」
「負けず嫌いなんだ、次にあった時に奴を越える為にな」
カウロスは着替えた軍服に剣をぶら下げて、屋外の訓練所に向かって歩いて行った。




