02 ギフト
ここまでのことをまとめると最初に選ぶ作品は
1、強大な力を持つキャラがいる
2、武器は基本使わない
3、なりきり度の難易度が低い
4、作品とキャラの知識が深い
これらを考慮して決定する。
まず強さが基準となるとバトル系マンガ一択となる。
いくら名作野球マンガに詳しかったり、大人のラブストーリーならなりきり度が高くなりそうでも、身を守れる強さがなかったら異世界では生き残れる気がしない。
──という理由からスポーツ、ラブコメ、日常生活系あたりは除外。
ただ、二作品目以降の選択ならありかもしれない。
稼げる手段としてこの世界にスポーツや文化的なものがあれば、スポ根系以外にも料理や科学など、特に知識系マンガは有用だろう。
次にバトル系の中で武器使いはリスクが高い。
必要な武器を入手するハードルが高く、それまで満足に力が発揮出来ないのがツラ過ぎる。
さらにこの世界に現存しない武器だと、製作する技術、費用、時間がエゲツない。
修羅の道なので、選ぶなら余程の覚悟がいる。
そして最大の障害となるのが、なりきり度。
幼少期に好きだった『アラ○ちゃん』はもろにその影響を受けている。
星をパンチ一発で真っ二つにする破壊力は、間違いなく最強クラス。
だが、いかんせん“子供・女の子・ロボット”とという四十代中肉中背、ただのおっさんが似せられる要素は皆無。
それでなくても両手を広げて「キーン」と言いながら走ったり、「んちゃ」と言って口から攻撃するのは精神的にかなりキツい。
同じ理由で『ボー○ボ』も相当無理がある。
どんな強敵も破茶滅茶な世界に引き摺り込むのは強そうだが、黄色のアフロにサングラス、あの毛量はどうしたものか。
他のキャラもオレンジ色の謎の生き物やところてんだったりするので、普通の人間には再現不可能過ぎる。
そういう訳で、たとえ秘密道具がありだとしても等身が低く、全身青い猫型ロボットに似せるのは難しく、低レベルななりきり度では『四次元ポケット』すら使えないであろう。
おかげで一説にあるギャグ漫画最強論も相当数脱落することになる。
最後になりきり度を上げるために重要な知識の部分。
世代こそ名作バスケマンガやエジプトを冒険していた頃から毎週少年誌を買い続けているが、マニアを自称出来るほど知識の深さは持ち合わせていない。
あくまで、ファンレベル。
読破した作品数はそれなりでも昔に読んだものや、一度しか読んでいないものはかなり内容がおぼろげ。
単行本を持っていて、語れるほどの作品は数えるほどしかない。
そういう意味で『ワンパ○マン』は選び難い。
この世界にモンスターや魔族みたいのがいるのかわからないが、脅威の身体能力と異次元の破壊力を持つ一撃はどんな敵だろうと倒せる気がする。
この最強格筆頭の主人公だがストーリーやセリフなど、ちゃんと読んではいても細かいところはうろ覚えなのだ。
それに全身黄色のスーツにあのツルツル頭をキープするのは……。
長年センター分けのビジネスヘアーだっただけに、いきなり全剃りするのも抵抗あるし、一度剃ると同じ坊主系以外のなりきり度は下がるだろう。
カツラがあれば話は別だろうが、今回はパス。
逆に好きで覚えているのは『グラップラー○牙』シリーズ。
最強ランキングにも名を連ねる主人公の父親は素手で軍隊を殲滅出来る戦闘力を持ち、あのアメリカ政府と個人で友好条約を結ぶほどの規格外だ。
あの強靭な筋肉を再現するのは難しいが、服装はまずまず。
印象的なセリフも多いので、なりきり度はそこそこになるだろう。
しかし、魔法や特殊能力、巨大なモンスターなどが存在した場合、どこまで通用するのか疑問が残る。
若い世代なら『ワ○ピース』一択か。
百巻を超える長編で登場キャラが多く、その強さも申し分ない。
服装や武器類も何とかなりそうな気がする。
私もリアルタイムで追っているが、残念ながら世代が少しズレていたこともあって、それほど深い思い入れがない。
週刊連載だけの知識だと、なりきり度にもかなり不安が……。
他の候補をいくつか挙げると『忍術』・『念能力』・『幽波紋』あたりは是非使ってみたい。
なんか、少年マンガが好きなので、どうしても偏ってしまうな。
「うーん……」
温かい日差しが閉じた瞼を透過してくる。
悩ましくも楽しい時間。
しかしこのままでは何も決まらず、日が暮れてしまう。
何の力も無く、得体の知れぬ森の中で一夜を過ごすのは物凄い不安だ。
ここは腹を括って、決断するしかない。
「──よし!」
しっかりと目を見開き、立ち上がる。
そして思考を一度リセットし、心を静めた。
いくら熟考しても最適解なんて出ない。
どうせ演じるなら、思い入れのあるキャラ。
なりきり度の要素は『愛』と解釈する。
ここは一番好きな作品にしよう!
大事なのはやはりラブだ。
子供の頃夢中になり、その強さにずっと憧れているマイヒーロー。
俺の心を燃やす、バイブル。
「ド○ゴンボール!」
声に出した次の瞬間、全身に電流が走ったかような衝撃を受けた。
明らかに何かが変わった感覚。
力が漲っているような、不思議な感じがする。
まだ、どのキャラにもなりきっていないが、もう何かが出来そうな気がしてきた。




