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17 勝者

ミラーイヤーをあと一歩の所まで追い詰めた。

しかし俺の体も結構ギリギリの状態。


そこへトドメは任せたいという想いが届いたかのように、上空へ退避していたエコウが降下してきてくれた。


「どうだ?倒せたか?」

瀕死のミラーイヤーに顔を向けたまま問い掛けてくるエコウ。

その表情は依然固いまま。

まだ完全に決着した訳ではない事を物語っていた。

俺も気を緩めるつもりはなかったのだが、


「いや……」

そう答えようと直視していたミラーイヤーから一瞬視線を外した次の瞬間──


「まだだっ!」

ミラーイヤーは上体を起こし左手をこちらに向け、指先から黒い煙のようなものを勢いよく噴霧してきた。

あっという間に視界は奪われ、ミラーイヤーを見失う。


「くっ!」

絶えず意識していたにも関わらず、反応が遅れてしまった。

界○拳の反動で重くなった全身が闇に包まれる。


まさか毒煙!?


瞬時に嫌な予感が頭をよぎる。

咄嗟に腕をクロスして防御体勢を敷いたが、無理をしてでも回避するべきだった。

戦闘経験の浅さが出てしまったか。

だが後悔している時間もない。


慌てて鼻と口を手で塞ぎ、転がるようにして煙から逃れる。

少量でも吸っていたらマズイ。

すぐさまポケットから解毒薬を取り出そうとするが──


「やられた……!」

小瓶を握った手が止まる。


予想の上をいく反撃。

気付いた時には首筋に味わった事のない鋭い痛みが走っていた。


「毒煙はフェイクで、こっちが本命だったか……」

黒煙に紛れてコウモリを飛ばす。

ニニと同じ手に引っかかってしまうとは。

毒へのトラウマからコウモリへの警戒を怠ってしまった。

上半身を起こしたミラーイヤーから薄い笑みが覗く。



「済まない!」

俺が捕まえる前にエコウが首筋に噛み付いていたコウモリを風の刃で叩き落としてくれた。

ミラーイヤーから目を離さないでいたエコウは黒煙を浴びる事なく、いち早く追撃のコウモリを撃退出来たようだ。


「くっ……!」

道中、散々味わった罠による毒。

それを想起させるジワジワと染みる痛みと痺れ。

だんだんと足腰に力が入らなくなってくる。

強力な即効性により、瞬く間に体の自由が効かなくなっていき、片膝を突いてそのまま崩れ落ちた。


それでも今回はコウモリに噛まれた直後、止めていた手をすぐさま動かし、ギリギリ解毒薬を摂取する事に成功。

毒煙だと思い込んで即座に行動を起こしていた事が功を奏した。


通常なら時間経過で直に効いてくるはずなのだが、ニニと同種の毒だとすると、マズイ。

勝利目前かと思いきや、逆にピンチになろうとは……何と不甲斐ない。

だが、ミラーイヤーもあのダメージなら、まだろくに動けないはず。

この瞬間、追い討ちされていないのがいい証拠。


「回復する!」

隣のエコウが両手をかざし、懸命に治癒魔法を掛けてくれるお陰で毒による致死はかろうじて避けられるか。

ただ、これでこちらの戦力はゼロになってしまった。



「彼女を責めないでください。他を対処するのに手一杯だったのですよ」

「……?」

上半身だけ起こし、こちらに語り掛けるミラーイヤー。

読み通り、喋る元気はあっても攻勢に出られるほど回復はしていないようだ。

だとしても言っている意味がわからない。


誰の何を責めると言うのだ?

答えを求めるようにミラーイヤーに目を向けると、その視線の先には──


「……」

唇を噛むエコウの姿があった。

いつでも面の皮が厚そうな態度であるにも関わらず、こんな悔しそうな顔をしているのは初めて見る。


ミラーイヤー曰く、予めこの空洞の壁に伏兵としてコウモリを忍ばせていた。

それを黒煙と同タイミングでエコウやカカたちへも放ち、黒煙に潜むコウモリへの対処が間に合わなかったという。


「それなら……」

もしそれが事実だとしたらエコウを責めるのではなく、ミラーイヤーを褒めるべきだろう。

このダンジョンの製作者だけあって、伏兵の下準備や仕掛けるタイミングなど戦闘経験豊富な手腕と手際の良さを見せつけられたのだから。


「コウモリの相手を任された身からしたら落ち度であり、戦士としてはさぞ屈辱な事でしょう」

「……」

いつもなら言われっぱなしで黙っているエコウではないのだが、図星なのか無言のままだ。

いや、決してエコウに落ち度があった訳ではない。

敵が一枚上手だっただけの話。


当然責める気もなければ、責めれる立場にもいない。

そもそも俺が黒煙を回避していればコウモリにも自分で対処出来たはず。

だとしても真面目なエコウの性格からするとフォローを任された以上、強く責任を感じていることは容易に想像がつく。


「自分を、責めるな……」

俺は精一杯の声を絞り出す。

精神を立て直せ。

まだ戦いは終わっていないのだから。



「どうです?ここは一旦引き分けというのは」

「引き分け?」

「お互い満身創痍ですし、仕切り直しということで。もし私が先に回復したら、ここを引き払って出て行きます。そしてまたどこかで出会うことがあれば、その時は改めて決着を付けましょう」


敵からの思わぬ提案。

ミラーイヤーの言葉を素直に受け取るなら、まだ回復するのにそれなりに時間を要するという事になる。

黒煙での反撃で余力を使い果たしたか。

やはり向こうも相当追い詰められた状態なのだ。


一方、こちらは戦闘不能が二名とその介助が二名。

戦闘の継続は困難だと言えよう。

確かに現時点では戦況は五分五分。


そうなるとここからは回復力勝負。

先に動けるようになった者がこの勝負の行方を左右する。


しかしミラーイヤーの狙いは何だ?


「ここを出て行くだと?信じられんな。先に回復すれば、こちらを倒す好機なはず。私たちの気持ちを切らすのが目的か?」

「いいえ。その男を見捨てた貴方と雌雄を決することがないようにです」

「では、今すぐお前を再起不能にしてから、治療するとしよう」

「その毒はあちらの少女のより致死性の高い特別性。回復の手を止め、攻撃魔法を発動させている間に衰弱死してしまいますよ」

「……こちらに浄化能力がないのはお見通しということか」

「ええ。ここまでの道程を拝見させて頂きましたから。すぐにでも街へ戻って専門家に治療してもらうことをお勧めします」

「……」

結局、エコウは回復の手を止める事はなく、会話を終えた。

ミラーイヤーの不敵な眼差しは言葉の真偽をあやふやにする。

とは言え、エコウによる捨て身の攻撃を恐れているのは事実だろう。


これはつまり、その手を使わせない為の交渉。

向こうは仲間を犠牲に勝負してくる可能性を危惧しているようだ。


当初の読み通り、ここに来るまでの珍道中は偵察のコウモリかなんかで監視され、こちらの戦力と性格は分析されていたようだ。

宝箱のトラップは単なる愉悦の為ではなく、情報を取るのが目的だったとは。


初邂逅となる魔族という種族。

自分たちを上位の存在と位置付け、もっと己の力を過信した傲慢な輩を想像していた。

その慢心を突いて先手必勝、一撃必殺で決着するのが理想であったが。

まさかここまで冷静に戦況を分析するタイプだったとは想定外。


力に溺れ、相手を下に見ていたのは俺の方だったのかもしれない。

頼りにされていたというのに、その期待を裏切ってしまった。


本当に責められるべきは俺。

今更後悔に苛まれても、拳を握る力もなく寝転がる俺には何も出来ない。

汚名挽回の為にこちらが先に回復するのを祈るしかないのか……。


──いや、この依頼は一人で受けた訳ではない。

この勝負の命運を握るのは……。



「残念ながら、そちらの申し入れは却下だ。こちらはこの場での決着を望んでいるらしい」

「!」

精神的に立ち直ったのか、エコウの晴れやかな横顔が覗く。

その変化の源となったもの。


「カカ……」

ミラーイヤーと共に目線を追うとニニを背負ったカカの姿があった。

離脱していた二人が合流し、再びパーティーメンバーが全員揃う。


「どうするつもりです?まだ彼女も回復してはいませんよ」

ミラーイヤーの言う通り、ぐったりしたままのニニの姿からは形勢が逆転したようには見えない。

てっきりニニが回復したから合流したのかと思ったのだが、どういう訳だ?


答えを待つミラーイヤーも興味深そうに事の成り行きを静観する。

奴も今は見届けるしか術がないのだろう。

動揺するどころか、立ち上がろうとする素振りも見せない。


そんな敵の様子など意に返さず、


「こうするのさ」


一歩一歩。

カカは古代樹の杖で回復を継続しつつ、ニニの重みを感じさせる歩みで俺たちの元へ。

悠然と一度杖を地面に置くとニニを降ろし、俺の隣に並べた。


「まさか、一人で二人を治療するおつもりですか?人間は勿論、エルフにそんな技量があるとは──」

「いや、私ではない」

唯一、ここまでミラーイヤーから目を離さずにいたエコウはそういうと両腕を下ろし、回復を中断した。


「まさか……!」

それに代わるのは、


「僕の役目さ」

二本の杖を掲げたカカが名乗りを上げたのだった。


古代樹の枝を加工した杖と今まで愛用していた杖。

それぞれ俺とニニに向け、治癒魔法を発動した。


「なんですと……!?」

その光景に能面のような表情に戻っていたミラーイヤーも目を剥いた。

そのリアクションだけでいかに高等技術であるかが窺える。


「得意げに言ったけど、ほとんど古代樹の杖のおかげだけどね」

「謙遜するな。それだけではあるまい。日頃の鍛錬と研究の成果だろう」

「エコウにそう言ってもらえると自信になるよ」

「世辞ではない。たとえ得物が上物であっても使い手次第だ。誇るがいい」


エコウは知っていた。

日々、依頼完了後も明るいうちはカカが魔法の修行に打ち込んでいた事を。

夜は魔法に関する書物を熱心に熟読していた事を。


魔力のスムーズな変換と微細な調整を可能性とする古代樹の杖。

その特性を利用したダブル魔法は誰もが一朝一夕で出来る事ではなく、才能だけによるものでもない。

カカの努力と研究があってこそ。


魔法に対する熱の入れようは俺もよく目にしていた。

知識を吸収しながらの研鑽の日々。

それが実を結ぶ瞬間というのは何とも言えないカタルシスがある。

今はまだ同時に別々の魔法は使えないらしいが、それもカカならいずれ習得するだろう。

そうなれば極大消滅呪文も会得してもらいたい所だ。


当の本人は集中しているのか、真剣そのもの。

その必死な様子から見てもエコウの賞賛は耳に入っていなさそうだ。



さて、これで状況は一変した。

カカが俺とニニを介抱し、エコウはフリーとなる。

依然として動きを見せないミラーイヤーの心中はいかに。

まだ手足に力の入らない俺は横目で最終局面の行く末を見守る事しか出来ない。


「最後に何か言い残す事はあるか?」

一定の距離を保ち、両手で狙いを定めるエコウ。

慈悲の心か、敵への敬意か。

慢心ではなく、形式的に辞世の句を待つ。


「……久方振りに楽しい戦いが出来て、満足でした」

意外にもあっさりと敗北を受け入れるミラーイヤー。

その潔い態度は自分でも死期を悟ったからか。

見苦しい悪態も付かず、最後まで紳士的な態度を崩さないのは魔族としての気位の高さなのかもしれない。

表情は相変わらず読めないが、流石にもう万策尽きたはず。


「さらばだ」


無情なる一撃。


安堵からか、俺は意識が遠退く中、ボヤけた視界にミラーイヤーの最期を映した。




「うーん……」

次に目を覚ましたのは教会のベッドの上であった。


ゼンタの街の中心に建つ、大きな教会。

白い壁に緑の屋根というシンプルな作りながら、周りには綺麗に整備された花壇があり、それが教会の目印となっている。

これまで建物の前を通った事はあるが、特別用事もなかったので中へ入ったことはない。


日本にいる時から都合良く神頼みする事はあっても熱心に信仰する神様はいなかった。

この世界の宗教にも興味はなく、この教会の信仰する神様も知らない。

しかしマンガや映画で出てくる宗教は邪教や悪徳のイメージしかなく、この世界でも出来れば関わり合いにならないよう行動するつもりでいた。

そんな失礼な態度でありながら情けなくお世話になってしまったようで、何とも複雑な気分でいる。


どうやらこの世界の聖職者は状態異常の専門家で、ケガの回復から病気まで様々な治療を行う医者のような存在らしい。

なので、この教会はいわゆる病院みたいな場所でもあり、信徒以外の患者も訪れる神聖なスポットとなっていた。


そして現在、俺の寝ている部屋はプライベートを隠すカーテンはおろか、花瓶や絵画もない白い内壁に囲まれた質素な病室。

個室ではなく、計六台のベッドが配置された相部屋であった。

ただし、他に患者の姿は見当たらない。

実は死体安置所なんじゃないかと邪推してしまうほど静かで殺伐とした空気感が漂っていた。


体を起こすと痛みはないが、頭がぼーっとして倦怠感が残っている。

毒は浄化されたようだが、この後遺症のような後味の悪い余韻は何度体験しても嫌な気分だ。

下戸なので普段は飲まないが、初めて酒を飲んだ後に体験した二日酔いを思い出す。


「気が付いたか」

心地の良いキリッと締まった声が聞こえる。

声の主を探して視線を落とすとベッドの脇に置かれたイスの上にエコウが座っていた。

座面の淵ギリギリに乗っかっているように見えて、落ちないよう反射的に手を伸ばしそうになる。


「体はどうだ?」

精巧なフィギュアのように整った造形から珍しく労りの言葉が掛けられた。


「完調とは言えないけど、明日には戦えるようになっていると思う」

「流石だな。でもしばらくは大人しくしておいた方が良かろう。報酬も入ったことだしな」

確かに肉体への直接的なダメージは皆無であったが、繰り返し受けた状態異常の負荷が蓄積されているかもしれない。

それでも頭や体の不調は一日寝れば大抵治るというのが俺の持論。

なので、俺に関する心配はここまで。

それよりこの場にいないパーティーメンバーの現状が気になる。


「カカとニニは?」

「二人なら心配ない。ニニも解毒が終わって自宅で療養している。カカは無茶な魔力行使で激しく疲労したものの、怪我はない」

「そうか……なら良かった」

大丈夫だろうと思いつつも毒による耐性は人それぞれなので、若干ニニの具合が気になっていた。

浄化が完了して療養するだけなら、ここより自宅の方が気持ち的には落ち着くだろう。

俺も昔入院した事があるが、早く自宅に戻りたくてしょうがなかった。


「どうやらあの毒、即効性はあっても致死性はなかったようだ。介助を増やして戦力低下を狙ったミラーイヤーの虚言。一杯食わされたな」

「……まんまと騙された訳だ」

「ああ。もしそんな強力な毒を持っていたなら、もっと違うやり方で我々を迎え撃っていただろうからな」

疑ってはいても最後まで排除しきれなかった懸念。

ブラフと決め付けて外れた場合の犠牲が取り返しのつかないものなら尚更だ。


こちらの質問に正直に答えていたその真意。

戦いに関係のない事については真実を伝え、勝負に直結する嘘の情報を信じ込ませる。

虚実取り混ぜて上手く語るのはペテン師のテクニックだ。

最初から会話のペースを握り、戦闘前から少しでも言葉に説得力を持たせるとは、やるな。

純粋な力は俺の方が上であったが、頭脳と心理戦では上をいかれた。


「……ミラーイヤーは?」

「復活出来ないくらいバラバラにしておいた。ダンジョンも消えたので、確実に死滅しただろう」

「なら、依頼は達成だな」

魔族はしぶといイメージがあるが、魔王クラスでなければ不滅という事はあるまい。

まあ、例え生き延びていたとしても今度こそ完全に力でねじ伏せるまでだ。



毒で気を失った後、重い荷物と化した俺を街まで運ぶ為、入り口を監視していた冒険者に謝礼を払って運搬を依頼したらしい。

ダンジョンが消滅した事で警備の任務も終わり、彼らもギルドへ報告に戻る必要があったので、ちょうど良かったようだ。

行きは節約の為に徒歩であったが、流石に帰りは馬車を利用。

徒歩で一日半の行程だったのが馬車では半日ほどで街まで帰還し、教会でお布施を払って完全に解毒してもらったという。

それから程なくして、俺は目を覚ましたらしい。


「ついていてくれて、ありがとな」

「いや、今回は私に非があるからな。任されていた役目を果たせず、済まなかった」

律儀に頭を下げて謝罪するエコウ。

まだ気にしていたとは、ほんと生真面目な奴だ


「謝らなくていいって。こうして全員無事だった訳だし。それに俺たち仲間だろ」

「ダイスケ……」

「パーティーで挑むってことは仲間を信頼して戦うってこと。俺がやられてもエコウが。カカとニニがやってくれると信じている。勝利は一人の力ではなく、仲間全員の力を一つにして得られるものだから」

どのヒーローも最初から最後まで一人で戦って勝つわけではない。

必ず仲間の協力があって、強敵を倒してきた姿をずっと見てきた。

大好きなマンガで。


「そうか……里では大抵一人で事足りたからな。私たちは協力し合う“パーティー”だったことを失念していた」

エルフの里でも優秀な戦士であったエコウはパーティーを組む必要がなかったのか。

斯くいう俺も今回の件で初めてパーティーの有り難みを心から実感した。

これまでの旅路ではほぼ独力で敵を倒してきたと言っても過言ではない。

そんな無敵を自称していた自分が呆気なく倒れたにも関わらず、強敵に勝てたのだ。

もし自分一人で挑んでいたとしたら確実にやられていた。

自身の補えきれない分野を支えてくれる仲間たちの心強さ。

いくつもの物語を見てわかっていたつもりでも、命の危機に瀕して初めて痛感したのだった。


「誰が倒れようと必ず全員生きて帰る。それをこれからの誓いとしよう」

「誰も倒れないのが、理想だがな」

スッキリした笑みを浮かべるエコウの様子からこちらの想いはちゃんと伝わったと確信した。


むしろ問題なのは俺だ。

状態異常が致命的な弱点であることが判明。

ドラゴ○ボールの世界と違って、この世界では単純な力と力のぶつかり合いだけではなく、敵は様々な状態異常を付与してくる。

今回のように力だけでは無双出来ない相手も多いだろう。

そうなると今後の事を考えて状態異常に関しては何かしらの対策を講じる必要がある。


新たな仲間を迎えるか。

各種回復薬を取り揃えるか。

ギフトを使って耐性を得るか。


次の冒険までに答えを出さねば。


まあ弱点を抱えたままでも、互いを支え合う能力と逆境を跳ね返す底力で魔族にも勝てたのだ。

深刻になる必要はない。


そう、


“俺たちは強い”のだから。

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