ミミックに転生するも女神はなんか怖いし、世界は滅んじゃったし、人殺しを強要されるので、ミミックが嫌いになりました。
ミミックが好きで書き始めました。
書いてるうちに、嫌いになるかもしれません。
俺が生きているこの地球に、隕石が衝突するらしい。
そのニュースの見出しを見た俺は、なにも考えずにテレビを消した。
なんたって今日は、学生にとって癒しの休日。
こんなつまらないテレビを見ている暇はないのだ。
今からやるのは、オンラインゲーム。
小さいころからやっていたゲームが、オンラインゲームになったのだ。
俺はこのゲームのシリーズが新しく出るたびに、全力でプレイしている。
もちろん抜かりはない。
そんな俺がいくらプレイしようと、終わることのないゲーム。
俺の長年の人生において、最高のゲームを見つけてしまったらしい…
これは、いつもお世話になっているゲーム、通称ドラゴンシリーズが出るたびに、言っている。
パソコンを起動し、毎日欠かさずやっている起動RTA。
なれたもので、ノールックで一発で決められる。
ゲームの中で俺は、ベッドから起き上がり、最短のルートで町の外へ冒険へ行く。
普通なら、まずゲームの仲間に、メッセージを送るところだろう。
馬鹿おっしゃい
こんな朝早い時間に、俺のフレンドの、萌え萌えキャラ使いのオジサン、又は、お兄さんが起きているはずないじゃないか。
一応学校の友達にも、このゲームをやっている奴がいるにはいるのだが、あまりにレベルが低かったので、このゲームの話をするのをやめた。
そいつはこんなことを言っていたような気がする…
「俺、ストーリーの終盤のボスにてこずっててさー」
これを聞いた瞬間に、俺の中に差別が生まれるのを感じた。
正直言って、俺がそこを通ったのはだいぶ昔の話だし、
もし、ここで俺がイベントダンジョンの周回の話をしてしまえば、相手は冷めた目でこちらを見てくることは間違いないだろう。
正直言って、同じゲームをやっているというだけの奴に話しかけるべきではなかった。
話しかけるなら、アニオタガチ勢で理解のある、幼馴染のデブにでも話した方がまだましだ。
ジャンルは違えど、何かをガチでやっているだけあって、理解はいいのだ。
何をやっているかは、ちんぷんかんぷんだが…
まあ、きっと相手も同じような気持ちだろうから、それによって相互理解が成り立っているということもあるかもしれない。
そんなことを思いながら、俺はいつもの日課というものをこなしていた。
ゲームプレイヤーにとって、日課というのは現実世界のものほど甘いものではない。
これが毎日欠かさずにこなせるかどうかで、他プレイヤーとの差が生まれるのだ。
例えば今からやろうとしている、公式ホームページの確認。
これは一見、少しゲームの内容からそれて、無駄な時間を使っているように思われるかもしれない。
しかし、毎日欠かさずチェックしなければ、イベントのための予定を開けられなくなってしまう。
俺は、ゲームのメニューに備え付けられている公式ホームページへのショートカットを使って、お知らせの一覧を眺めていた。
「今日のお知らせは…‼」
俺はとんでもないものを見てしまった。
それは…
「緊急メンテナンスだ」
まさか、休日のど真ん中で当たるとは…今日はついていない
最悪な休日だなチクショー。
そんなことを考えていた。
今日は隕石衝突イベント。
楽しみにしていたイベントの日だった。
隕石衝突イベントとは、空からモンスターが降ってきて、それを平原エリアで討伐するイベント。
このモンスターの中には、特別なモンスターが含まれていて、そいつを倒す言葉出来ればポイントが大量にゲットでき、多くのポイントをゲットしたプレイヤーには報酬があったのだ。
もちろん俺の真の目的は、ランキング圏内。
そんな考えをよそに、今の俺はダウナーな気分になっっていた。
すると一本の電話がかかってきた。
「プルルルル」
「オタクからだ…」
俺の携帯の画面からは、学校内のほぼ唯一の友達、アニオタからの着信が届いていた。
俺がなぜオタクという名前で登録しているのかというと、あいつがオタクだからだ。
あだ名で呼びすぎて、多分あいつの名前が出てこなくなる日も近いだろう。
「何だよ、朝から掛けてくるなんて珍しーな」
「それより大変なんだ!」
「何だよ…」
「お前、『異世界いい世界』、録画してたよな…」
「ああ、お前に無理やり進められたアニメのことか。」
「お前、それ、ちゃんと取れてるか?」
「多分取れてると思うよ」
「その録画のデータ俺の家に持ってくんない?」
「まさか!?お前ほどのオタクが、録画し忘れたっていうのか!?」
「いいや…録画はしていたんだ…ただ…ほかの番組と偶然かぶってしまって…消しちゃったんだ。録画を…」
「マジか…そんなくだらないことのために、俺は今から重たい体を動かして、お前の家に出勤しなければならないなんて…」
「本当に、一生のお願いだ…どうしてもこのアニメはコンプリートしたいんだよ…
「お前の一生のお願いは、一生使い続けられるお願いって意味だろ」
「なんだか今日は渋いな……そうか!お前今日はゲームのイベントって言ってたもんな、すまなかった俺の計算ミスだ。俺がお前の家へ行こう…」
「最初からそうしろよ、まったくお願いする立場のくせに、厚かましーな、まったく」
「今から行って大丈夫か?」
「いや、いいよ、俺が行くよ。ゲームにメンテナンスが入って、ちょうど暇だったんだ」
「神」
「じゃあ、今から向かうから、今のうちにお菓子でも用意しておけよ」
「了解!」
まったく…家から出るのだりーな。
PSP持っていくか…
ゲームやりながらじゃなきゃ、あいつの好きな幼児向けアニメは見れねーからな。
そして、学生引きこもりの俺は、助けを求める友人のもとへ足を踏み出すのであった‼
「うは!外はあちーな。」
外に出ると太陽がさんさんと照り付けている。
やっぱり行くのやめようかな?
あれ?
いつも見ている空とは、妙に何かが違う気がする。
なんだ?あれは
隕石?
●
2021年8月28日
橋田 哲也 死亡
俺は本日二度目の目覚めを経験した。
一瞬の間消えていた意識が、戻ってきた感じだ。
そして、意識が消えた一瞬の間に、俺は全く知らない場所へ来てしまった。
それは思い描いた天国のような場所。
これは揶揄とかそういうたぐいの表現ではなく、本当に真っ白で何もない場所。
「ここは…どこだ?…いや、このセリフはありがちすぎる。俺がゲームとラノベとアニメでたくさん聞いたセリフだ。もっと捻りのあることを言おう。」
『神は存在した‼』
こんな感じでどうだろうか?
大体こういう場所には神様かなんかがいて、光の中から出てくるものなのだ。
俺がもし、シナリオを考えるなら、絶対にそうする。
にしても、なかなか神様は出てこないな…
第一声で、変な奴だと思われてしまっただろうか?
「ヘイ神様!いらっしゃいませんかー…いたら返事してくださーい!」
…………
俺の言葉は、神様に届いていないらしい。
まあ、神様となれば、さぞ忙しいんだろう。
気長に待つさ…
どうせこの後の展開は予想できるしな。
きっとこの後、神様が現れてこう言うに違いない。
私が、お告げをしてやろう。と…
そして俺は純粋なふりをして…
「お告げ…ですか?」
そう答えたら、神様は偉そうに鼻を鳴らして。
「フン…、お前には地球の未来がかかっている」
みたいなことを言われるんだろう。
全く、俺が地球を救う羽目になるとはな…困ったもんだぜ。
今日も中二病ムーブ全開だ。
「それにしても神様はおせーな、この頭おかしくなりそうなほど、真っ白な場所に、どれだけ待たせるつもりなんですかねー。地球を救う男をこんなところに、何時までもくすぶらせておいては、いけないんじゃないですかねーー--」
全くもって声が反響しない。
ここには、声を反射するものが一切ないらしい。
ああ、ダメだこりゃ…薄々気づいてはいたけど、多分夢だな…これは。
妄想の熱が冷めてきて、気分が落ち込んできた。
「夢なら、まーいいか。それはそれで…ぐっすり眠ってればいいだけの話だもんな…うん」
そしてまさか…それから体感時間にして…ザックリ3年ほど待つ羽目になるとは思いもしなかった…
最近俺はよく考えていることがある…それは、明らかにこれは、夢ではないということだ。
夢にしてはいくらなんでも長すぎる。
そして、疑問点がいくつか有る。
まずは、なぜこんなところに俺がいる羽目になっているのか…だ。
俺はここに来る前、確か友人の家に向かおうとしていたはずだ…。
そこで、そのあと…隕石を見たんだ。
それで気が付いたら、俺はここにいると…
あれ?
もしかして俺…死んでんじゃね?
確か…そういえば…あの日ニュースでやってたな、超大型隕石がうんたらかんたら―って。
つまり、俺は最後蒸発して、言葉通り天国に上って行ったわけか…
それにしても、実際の天国って本当になんもねぇんだな。
こうやって空を見つめることしか、できることは無い…
ああ、あのゲーム漬けで、引きこもりで、楽しかった毎日に戻りたい…
もしかして、あともう少しだけ待てば、俺は新しく転生できたりするのかな…
っていうか。転生しても、地球が世紀末みたいになってたら嫌だな…
モヒカンたちが支配している世の中なんかに行きたくはない…
もし神様が現れたらこう、言おう。
「私はもう、転生しなくていいです。いいですので、ここで引きこもって、ダラダラさせてください、と…」
『え?転生しなくていいの?』
どこからか声が聞こえた。
ああ、ついに俺に幻聴が聞こえるようになったのか。
この声は、あれに似てるな。
アイツが見てたアニメの赤い髪の女の子。
名前覚えてないけど。
「もう一度聞くよ?本当に転生しなくていいの?」
なんだ、今度はやけに立体的な声が聞こえたな…
モニターに備え付けられているスピーカーみたいな音質じゃない。
よっこらせっと。
あれ?今俺?、よっこらせって…言った?
ここに長く居すぎて、もしかして精神年齢だけが、おっさんになったのか!?
そんなことを思いながら、久しぶりに体を起こすと。
女神が立っていた。
「誰ですか?もしかして、その、目が痛くなりそうな白い服は、天使か何かですか?」
「おしい!私は女神でした」
声どころか、性格までアニメにそっくりじゃないか…
やっぱりこれは夢だったか?
「ところでさっき、君が転生しなくていいって、言ってたけど。あれはどういう意味なの?」
「ああ、さっきのは独り言で…」
「フーン、天界で人を長く待たせすぎると、なんで、みんな一人でブツブツ言うようになるんだろ?」
「ところで?女神様…?俺に一体何の用で…」
「用…は…えっと…。ごめんちょっと時間頂戴、長く生きていると物忘れが多くなるんだ」
何だこの女神、ボケが始まってるぞ。
大丈夫なんだろうな?
「俺が勝手に予想するに、多分女神様は死んでしまった哀れな俺に対して、転生先はどこがいいですか?とか、貴方に、チート能力を授けましょう…みたいな感じのことを言いに来たんじゃないですか?」
女神が、ハッとした顔をしている。
どうやらあたりだったようだ。
「そうだった!君は勘が鋭いね。もっと具体的に説明すると君が暮らしていた地球には、現在生命が活動していないんだ…残念なことに壊滅だ。
それで困ったのが、大量に死んだ人たちの転生。
いつもなら同じ星に住んでいる、生物に転生させるのが、決まりだったんだけど…それができなくなっちゃってね。」
なるほど、俺の星は、あの巨大隕石によって滅ぼされたわけか…
「そこで、よく似た異世界に今は民族大移動をやっているわけなんだけど。もうすでに、人間の枠は全部埋まってしまったんだ。」
「つまり?」
「その世界の、人類の敵。魔物になって、生命のバランスを保ってもらおう、っていうことになってる」
「…」
「地球で死んだ人間には、今回特別に恩赦が与えられた。それは、今まで生きてきた記憶のすべてを引き継げる、とんでもない能力。もちろん、転生するかしないかは君次第。さあ、えらぶんだ。このまま無になって、跡形もなく消えていくか…それとも、異世界で第二の生を受けるか」
なんだ、この選択は…どっちを選んでもバッドエンドじゃないか。
正直に言って、俺はこのまま消えたくはない。
何もせずに、消えたくない。
だからと言って、俺は生まれ変わったら、魔物になって…
それから、どうやって生きていけばいいんだ。
俺には選べる気がしない…
そうだ!
この女神様に決めてもらえばいいじゃないか。
そうすれば俺は、転生したとしても、無理やり女神に転生させられてしまっただけだ。
俺には何の罪はない。
葛藤する俺に女神が話しかけてきた。
「君たち人間はね、自分たちが生きる上で多くのものを虐げてきたんだ。
たとえば、君らが開拓してしまった森、あれは最後まで戻らなかったね。
他には、自分の天敵であった近縁種なんかも、すべて滅ぼしてしまったようだ。
今更なんだよ結局さ。
自分が生きる上で他者を虐げることはしょうがないことなんだ。
君が生きたいかどうかで決めればいい。
難しく悩まなくていい。欲望に素直になるんだ。」
この言葉を聞いて俺は、納得してしまった。
「そうだ…俺はまだ、死にたくない」
ここから俺の、ハードモードが始まった。
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ブックマークがつかないと、失踪します。