第5話 鏡発見
そんな風にクラスの皆で雑談しながら雑草ぬきぬきしてると、視界の端で一人の男性生徒が森に向かっていくのが見えた。
ミュクゼが動物をつれてどこかに向かっていってる。
さぼりか?
いや、あいつにかぎってまさか。
後をつけていく。
どこのジャングルかってくらい緑様が生い茂られてたけど、どうにか見失わないでついていけたぞ。
で、ミュクゼが停止。
彼は、森の奥で変なものを見つけたようだ。
いや、最初に見つけたのは、先導している小さなシカか。
ミュクゼが動物に礼を言って、あちこち調べてるみたいだ。
まあ、あんなのあったら、いくら動物でもびびるか。
それで、なんとかしてくれそうな頼りがいのある人間に助けを求めたと。
ミュクゼは攻略対象だもんな。
気持ちは分からんでもない。
だって、それ。
白い巨大な鏡のようなものがあるけど、物理法則を無視して宙に浮いてるし。
え。これ実在してたの?
見覚えがあるぞ。
それは、追憶の鏡というやつだ。
ゲームの中である、クリア特典でみたやつなんだ。
過去に戦ったヤツともう一度戦えるとかいう、おまけ要素で出てくる鏡。
けど、明らかに世界観から浮いてるんだが。
いちおうこの世界には、現実(元いた世界)と同じ法則があるみたいだけど、なんか鏡の名前が付く奴だけ、おかしくね?
前回の教徒の事件のヤツ、水のたまだって若干ファンタジーしてたし。
俺は、動揺しながらミュクゼに話しかける。
「ミュクゼ、それ、えっどういう? 知ってる?」
するとミュクゼは俺がついてきていることにも、変な浮いてるもんにも動揺することなく、言葉を返してきた。
「いや、なんだかわからない物があると動物がいっていたので、見に来たのだが」
やっぱり知らないか。
すると、アウルやマリンちゃん、フレオンまで集まって来た。
勢ぞろいいつものメンバー。
彼等は一様に不思議な鏡を見つめて首をひねっている。
何なんだろうねこれ。
見つめていると現実感なくなりそう。
クリア特典がなんで、この世界に存在してるのか、見当もつかないおれは俺も一緒に首をひねるしかない。




