第2話 親の気持ち
分からなかったので、養鶏場の弟分に聞いてみた。
人に聞いてばっかりだな。
俺、勉強は頑張ってるけど、人の心の事なんてわかんねーし。
専門家じゃないし。
「はぁ、そんなの俺に聞かれたって困るよ兄ちゃん」
うーん。だめか。
だよなぁ。
行く当てもなく困ってた弟分だけど、別に親しい人を殺されたとか言うそういうエピソードは持っていない。
それがなくても、十分悲惨な過去だとは思うけどさ。
じゃあ、誰にきけばいいんだっ。
頭をかきむしる。
「兄ちゃんっていっつも誰かの事ばっかり考えてるよな。自分の事とかかんがえねーの?」
それは、難しい問題だな。
テスト勉強よりも難しいぞ。
難易度的に。
すると弟分は「うわぁ、重症だ」みたいな顔になった。
「考えてもみなかった、みたいな顔しないでよ」
え。そんな顔してた?
顔をぐにぐにしてみるけど、俺じゃわかんない。
当然か。
かといって、そのためだけに鏡を見るのも気が引ける。
わざわざする事でもないし。
そしたら、弟分が発現。分からないって言ってたけど。でも、一応考えてはくれたみたいだ。
「その人も、親の為に仇を討とうとしてんのかな? そんなの忘れて自分の為に生きればいいのにな」
うーん。
ミュクゼは、両親の為に復讐をうとうとしてるのかな。
そうなんだろうな、きっと。
でも、両親は息子にそんな事してほしいとは思ってないはずだ。
それを伝えられたらなんとかなるかもしれない!
「ありがとう! 参考になった!」
「それはいいけど、兄ちゃんちゃんと自分の事も……って、もういないし。ひょっとして兄ちゃんがいっつも中途半端に上の下の成績とってるのって、人の事ばっか考えてるからなんじゃ」




