俺の話
俺は鳥畜生の次に鏡が嫌いだったりする。
今世ではそれほどではないけど。
前世では自分の鏡をあんまり持っていなかった。
だって、鏡には男らしくない、不健康な自分の現実しかうつさないからさ。
でも、おばあちゃんにもらった鏡だけは大切にしていたよ。
人からもらったものだし、形見だし。だから、捨てられなかったんだよな。
おばあちゃんは大切にしていたら、物にも魂が宿るんだって本気で信じてるような人だった。
だからおばあちゃんは、その鏡をずっと何十年も、ひょっとしたら何百年も大事にしていたんだろう。
そんな鏡だから、俺の代で捨てるのはもったいなかったんだ。
だから、使わない鏡を持ち歩くはめになったんだよな。
俺の最後の時だって。
車いすが人にあたって、車道に倒れて、鏡が道路にころがっていって、鏡に手をのばした
その時の光景ははっきり思い出せる。
なんで、よりによってあの時、いつもの車いすじゃなくて、簡易車いすを使ってたんだっけ。
あーそっか、壊れて修理に出してたからか。
それで、このままだとおばあちゃんの鏡が割れちゃうなって、そこまで這っていって。
そこで、俺の記憶は終わりだ。
そこから先は俺の記憶にはない。
鏡、無事だったかな。
おばあちゃんの形見までなくしたら、天国で合わせる顔がないんだけど。
いや、おれ天国通りこして、来世にいっちゃったんだったか。
この場合、死者の国ってどうなるんだろうな。




