第9話 引き続いての後任
ふぃ。今回も大変だったな。
全三日の日程を消化した俺は無事に帰宅。
シグナ君に嬉しい報告をして、力尽きた。
養鶏場の事どうするか分からないけど、せっかく親が見つかったんだから、仲良くしてほしいとは思う。
まあ、お勤めがあるからすぐにとはいかないだろうけど。
後任の事は、他のアルバイトでも探すしかないかな。
なんて、考えてたら「やめるわけないだろ。兄ちゃんたちには恩があるから」とか嬉しい事を言ってくれた。
もつべきものは良い弟分だな。
「それに、冷静に考えてみてよ。今まで教徒としてやってきたなら、改心したとしても、普通は何年も牢屋に入る事になるだろうし」
うーん、そうなのかな。
やっぱし、すぐに出所とかいかないか。
シグナ君の事を思って、事件後のちょっとした取り調べの時に色々活躍をアピールしたけど、難しいかな。
この世界の教徒の認識は、皆「あいつらやべー」だしなぁ。
「兄ちゃんってたまに、ぬけてるところあるよな」
言われてみればそうだかもな。
改心したといっても、教徒として活動してきた今までの被害があるわけだから。
「だから、俺はそうそうここからいなくなったりしないから。兄ちゃんは安心して勉強してろよな」
えっ、俺気遣われてる?
年下の男の子に?
まったくそいうシグナ君こそ、子供なんだからもうちょっと我儘を言いなさいっての。
こんど美味しい物でもおごってあげよ。
お小遣い余裕あったかな?
財布の中身を心配しながら、俺は少年の頭をわしゃわしゃするのだった。




