第7話 ネズミ爆弾
「で、あるから、この町の英雄は」
あいかわらず、案内人さんのちょっと薄味解説が続いていた。
クラスメイト達の何人かは立ちながら船をこいでいるような状態だったけど。
来たな。来てしまったようだ。
俺はその雰囲気の変化に気が付いた。
避けられない事とは分かっていたけど。とうとう、それが起こったのだ。
「チュウ!」
ほら、きたぞ!
きたぞ。きたぞ。
めっちゃ来た!
爆弾を抱えたたくさんのネズミ畜生達が。
そいつらは、町の下水道とかに住んでる小憎たらしい小動物、害獣だ。
っていったら、生きるために必死なあんちくしょうたちに失礼かもしれないが。
でも、いま俺達まさに害を被ろうとしているし?
「チュウ!」
「チュウ!」
「チュー!」
そいつらは、そこらでたまに見かけるような奴等じゃなかった。
どうみても人の手で飼育されているとしか思えない、小綺麗な体をしている。
そんなネズミ畜生が大量に、背中に爆弾をつけて走って来た。
ここ、ゲームでイラストあったからビビったんだよな。
背景にたくさんのネズミがいてさ。
ゲームの中の事といえども、さすがにうわってなったよ。
で、ぼうっとしていた生徒達は、それを見て「え?」という顔をして、一瞬後パニックに陥る。
悲鳴の大合唱だ。
しかし、問題ない。
「そいつは爆発しないから! 皆はそこを動かないでくれ!」
とたん、俺が説得した教徒が仕事してくれたらしい
上から水をばしゃばしゃっと降らせた。
朝に、念のために打ち合わせしておいてよかった。
ごめんよ水かぶった皆。
風邪ひいたら後で看病するから。
さて、この後奴らがどのルートを使って脱出するかは、密偵者によってすべてつつぬけだ。
俺はルート選びを迷わなくてすむ。
あとは、ただ迷子にならないように気を付けるだけだな!
俺はフレオンの腕を掴みながら「ミュクゼ! アウル! あとマリンちゃん! 教徒来た!」と声をかける。
連中ならこれで通じるだろ。
学生なんて本来まきこむんじゃないって思うけど、あいつら強いし。
あと、これしないとゲームのストーリー終わらないし。
へたに逃がして、よう分からんタイミングでまた来られても困るしな。
彼等は、上から降りてきた教徒の密偵から、やるべき事を教えてもらえるはず。
俺はフレオンを連れて走り出した。
俺達が担当するのは、三つある出口のうちの、一つだ。
走りながらフレオンに事情を説明。
怪しい奴が出口に向かってる事を喋った。
今回はフレオンだけで先行する事が出来ないんだよな。
ルートが違うと、入れ違いになって相手を取り逃がす可能性があるから。
観光パンフレットをひらきながら、見間違えのないようにしっかり目をこらす。
「次右、後は左だ」
「わかった!」
フレオンは十歩ほど前を走りながら、俺が指示したルートを走っていく。
やがて、後は直進だけの通路になった。
連中は、くそ姿が見えない。
もう出たのか。
「右曲がったらフレオン、あとは出口までまっすぐだ」
「ん、行ってくる!」
こうなったら俺の役目は終了だな。
ぎゅんぎゅんスピードアップしたフレオンが出口をあっという間に通り過ぎていく。
その先で、騒々しい声が響いてきた。
良かった。
追いつけたみたいだ。
息を荒くしながら出口を出ると、フレオンが数人の教徒をノシたところだった。
一人でなんとかなる人数でよかった。
ここはゲーム通りだ。
こっちはなんとかなったな。
あとは、他の所は大丈夫か?




