第6話 全力不審者
昼過ぎの時刻になった。
修学旅行二日目の日程は半分ほど消化。
観光名所三か所目に向かっている。
それは、例のあの場所だ。
白い遺跡にやってきた俺達は、クラスごとにまとまりながら移動。
案内人さんの説明を聞きながら、遺跡の中をめぐっていた。
あっちの道具はどうとか、こっちに英雄像はこうとか。
解説は学生である俺達でも分かりやすいようにかみ砕かれてる。
もうちょっと詳しく言ってもいいのよ、って感じだったけど、興味ないのにがっつり言われても困る人が多いんだろうな。
俺なんかは別にそういうのも楽しめちゃうクチだけど。
勉強とか遺跡とか歴史とか興味のないクラスメイトは、ちょっと退屈そうだ。
まあ、こういうとこってなんか静かにしてなくちゃいけない雰囲気あるから、肩こっちゃうし、気疲れしちゃうもんな。
さて、怠惰なクラスメイト達を観察したついでに、遺跡内もちょくちょく調べるぞ。
この遺跡、入り組んでるから迷子になりやすいみたいだな。
あっちの角とか、こっちの角とか同じような感じだから、見分けがつかない。
案内人さんがいないと、また迷子になってたかもしれない。
この遺跡の中で走り回る時は、注意しないとな。
あと、ドンパチやり合う事になったとしたら周りに注意しないとな。
そんな事にはなってほしくないけど。
辺りには、他の観光客さんたちがちらほらいるし。
普通はそんな想定しないもんだけど。
「という歴史がありまして。……であるため」
もうそろそろ、かな。
イベント発生に備えたい俺は、どうしても周囲をキョロキョロしてしまう。
それを見てフレオンが「ねー」とか「どうしたの?」とか聞いてきたが、俺は「しー」と黙らせておいた。
余計な事をして、イベントの発生時期をずらしたくない。
それで、いつかの教徒の時は泡くったし。
しかし、警戒をゆるめると死にかねないので、全力で注意し続けるぞ。
キョロキョロ。
「とさか君、すっごく不審者なんだけど。あと、あの案内人の人、眉間にしわよせてるよ」
あっ、すみません。
聞いてます。聞いてますから。




