第6話 うさちゃん問題解決
そういうわけで貼り紙に改良を加えて、さらに兎を校内で散歩させる許可も先生方からとりつけた。
学校としては兎一匹の行方なんて別にどうでもいい案件だったけれど、積極的に見殺しにするのもなんとなく寝覚めが悪いって感じなのだろう。
その日から攻略対象達やヒロインが兎をつれて、色々なクラスを訪れることになった。
生徒達には大人気だ。
やっぱり平面のうさちゃんと、現物のうさちゃんとじゃ存在感が違うんだろうか。
興味のある生徒達があつまって、うさちゃんをなでたり、さわったり。
その努力はみのったらしい。
「あの、卒業後にうちで飼ってもいいって両親がいっていたので」
ととある女子生徒が名乗り出たのだ。
両親に相談してくれたらしい。
うさぎの飼育方法はこれから勉強してみるとか。
一時的な興味だけで飼いたいとかるく言う生徒もたまにはいたけど、家族にまで相談してくれたのはこの子が始めただ。
途中で手放さないなら、彼女みたいな子に飼ってもらった方が、うさちゃんも嬉しいだろう。
「あれ、とさか君。鳥は嫌いなのにうさぎはそうでもないんだ」
「同じ地を這う者同士だからな」
「???」
それに、うさぎは鳥ではないし。
そんなこんなで無事、卒業後に飼い主になってもいいという生徒が見つかったよ。
今回、俺なんにもしてないな。
それなのに、お疲れ様の意をこめたヒロインからのクッキーを一つ頂戴してしまった。
あ、数に入れてくれるんだな。
優しい。
俺がそっちの立場だったら美女しか記憶に残さない気がするけど。
でも、みんなで美味しいクッキーをむさぼりながらだべっていたら、なんかどうでもよくなってきた。
終わりよければなんとやら。
今回は誰も危険な目に遭わなかったしな。
あ、うさちゃんがいたか。
ごめんようさちゃん。




