現代でほのぼのライフ
初投稿です。不慣れですがよろしくお願いします。
心地よい風が桜の花を揺らす、とある春の日。
私、桜木 遥、20歳は半年前に亡くなった祖母の家に引っ越してきた。
「はるかー?」
「ん〜?なぁに、お母さん。」
「本当に一人暮らしできるの?しかもマンションじゃなくて一軒家だなんて。広い庭も手入れできないでしょう?」
はぁ。お母さんってば、それは何度も話し合ったのに。
「お母さん!もう私は20歳なんだよ?大丈夫。」
「何があったらちゃんと連絡するんだよ?何歳になっても私達にとっては子供なんだから。」
「はぁい。」
心配してくれるのは本当にありがたいね。でも…私もお母さんが心配なんだよ?
というのも私の母桜木美音は最近、犬の散歩中に転んで足を骨折してしまったのだ。
「そうだよ、遥。美音も僕も君が心配だからいってるんだからね。」
「お父さん…。うん、分かったわ。でも、お母さんの事もしっかり見ててね!」
「あぁ。もちろんだ。」
車で1時間程離れた自宅にお父さん達が帰った後、買ってきていたお弁当を食べていると突然、
ーグラグラグラッー
「っ地震?!」
突然の大きな揺れに動揺しながらもテーブルの下に頭を隠す。
「…収まった?とりあえずニュース見なきゃ。」
ーピッー
『……えー、テレビをご覧の桜木遥さん。聞こえていますか?』
「…ん?テレビに副音声ついてる?それにしては私の名前言ったような…」
『テレビではないよ。私、神様。分かる?』
ん?神様?これってラノベである転生系?もしかしてさっきの地震でまさか死んじゃった?
『いや、亡くなってないですよ。というか私が言うのもあれなんですけど信じ過ぎじゃないですか?いきなり神様って言われて。』
「いや〜、日頃から妄想してまして。自分が欲しい能力はこれだな〜、とか。ところで何かご用ですか?」
私が死んでないなら一体なんのようなんだろうか。
『あ〜、少し貴女にご褒美がありましてね。昨日轢かれそうになってた子犬助けたじゃないですか。あの子、僕の眷属なんですよ。』
ほー。そうなんですか…。あのフワッフワでコロコロした子犬がかぁ
『そうです、あの子犬です。少し目を離した隙に地上に行っちゃいまして、パニックになってしまったみたいなんです。そこを貴女に助けられたそうで。なのでそのご褒美に好きなスキルを二つプレゼント、そして件の眷属を貴女に譲ります!』
おぉー!それは嬉しい。
うーん…欲しいスキルか…
「欲しいスキルは、《テイム》と《生産の手》ですね。」
『テイムはわかるんですが生産の手はわからないですね。詳しい説明をしてもらっても?』
「はい。生産の手は、緑の手の凄い版みたいな感じです。緑の手は植物を育てるのに便利なスキルで、生産の手は欲しい物、もしくはその材料が育てられるという感じですね。欲を言えば、能力や味、その他が自由に決められるとありがたいです。」
『ふむ…。分かりました。ついでにテイムした動物とはテレパシーで話せるようにしておきますね。』
よしっ!日々の妄想が現実になりそうだわ。
『では眷属の子犬を連れてきますね。』
あー、楽しみだな♪名前とかも考えた方が良いのかな?
う〜ん。可愛い方がいいよね…。
『こんにちはなのだ!ご主人さま、昨日は助けてくれてありがとうなのだ!』
うっ、可愛い〜
「こんにちは、お名前はあるの?」
『ううんなのだ。ご主人につけてほしいのだ!』
「君はクリーム色だから、リームはどう?」
『嬉しいのだ!ありがとうなのだっ、ご主人!』
『決まりましたか?ではスキルを授けます…。はぁっ!』
ーピリッー
いたっ!なんか大きめの静電気が走った感じ…。
『ではその子をお願いしますね。サービスで鑑定もつけておきました。それでは…』
行っちゃった…のかな?最後まで声しか聞こえてないから分からないけど。
『ご主人!何するのだ?』
「うーん、まずは自分の事鑑定してみようかな。《鑑定》っ!」
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名前:桜木 遥
性別:女性
年齢:20歳
称号:料理上手
スキル:テイム・生産の手・鑑定
眷属:リーム
状態:正常
____________________
「リームも鑑定してもいい?」
『もちろんなのだ』
____________________
名前:リーム
性別:雄
年齢:2歳
称号:無し
スキル:愛嬌・念話
状態:正常
____________________
スキルとかも試してみないとな〜!わくわくだ!
「私は庭に行くけど、リームはどうする?」
『リームも行くのだ!ご主人、お庭に出て何するのだ?』
「スキルを試して見ようと思ってさ。もしかしたら食べた事がない位美味しいお野菜作れるかもしれないし。」
『楽しみなのだ〜!リームも味見したいのだ、お手伝いもするのだっ!』
うーん、種とか持ってないけど育てられるのかな?
まずは酸味と甘みの割合が2:8の苺を作ってみようかな。
「《生産》苺っ!」
――ぽんっ――
手のひらには大粒の苺が4つできていた。
『ご主人っ!赤い実が出てきたのだっ』
ふふっ。リームは可愛いなぁ。めっちゃ尻尾振ってる
「これが苺っていう食べ物だよ。甘いけど、一応野菜なのかな?一緒に食べよっか。」
そういってリームに差し出しながら自分も食べてみると…
「うん、美味しい!リームはどうだった?」
ていうか、リームは普通の犬と同じような食べ物の方がいいのだろうか。
『美味しいのだ!もっと食べたいのだ!』
「リーム、貴方は普通の犬と同じ食べ物でいいの?」
『リームは何でも食べられるのだ。だからご主人、もっと苺が欲しいのだっ』
そう言うとリームはじゃれついてくる。
「はいはい、あげるよ!だから落ち着いて〜。」
苺を差し出すと、無我夢中で食べているようだ。
あ、こんなにかわいいんだからSNSにあげてみようかな…
「ねぇ、リームの事、SNSにあけてもいい?色々な人が、リームの写真とか見れるんだけど…」
『写真なのだ?よく分からないけど、ご主人がしたいならいいのだ。』
「ありがとう!」
ではさっそく…
「お座りして首をかしげてくれる?」
『了解なのだっ』
――パシャッ――
「可愛く撮れたよ!じゃあ直ぐにあげるね。」
ここから遥の物語は始まっていく…
いかがだったでしょうか。お気に召していただけたらさいわいです。