意味
奇しくも彼女と初めて会った道場で、今の変身した私(通称『姫』)と、彼女『西條舞子』(が変身した姿、通称『お嬢』)は戦う事になっていた。
そして今日も――。
道場には憲兵も教員も居ないが、詰め掛けた女学生達、『百合女』に職業訓練女子学校(以下、『錬女』)の生徒が、私達を囲み、中へ入り切らない女学生達が道場を囲んでいた。
何故これ程の女学生が熱をあげているのか。自分で言うのもあれだが、変身した私達の人気は凄かった。
変身すると髪の色も変わったが、顔も変わっていた。私も彼女も、まさに別人に。
自分でも見惚れてしまう程美人に。元が良かった、彼女はさらに――。
しかし、その所為でもあったが、それとは別に熱狂する訳もあった。
学校の威信だの御託を並べてはいたが、陰では、いや今では堂々と私達の試合で賭けを行っていたのだ。
もちろんチョコレートを賭けて――。
「非・国民的だ」とは言っていたものの、彼女も私もその恩恵は受けていた。むしろ喜んで。
いつの間にか、それが大義と成っていた事は否定出来ない。
「キャッーー!お嬢。頑張ってー」
「姫ー。姫こっち向いてー!」
声援は、どちらの学校や、生徒等関係なく送られていた。私達が何処の誰かも知らないのだからしょうがない。
唯、声援に混ざり『チョコレート』や『ギブミー・チョコレート』と聞こえても来るし、チョコレートを集めて回っている者も居る。
――それはそれで複雑ではあった。
この光る魔法の竹槍で、私達は何をやっているのかと。