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かぐや舞う  作者: 合川明日
♯ 1 『かぐや』と『姫』
7/70

変身

 彼女は本気でない。いや、本気だったとしても、本気で手をかれている。


 その証拠しょうこに彼女は、私にではなく、竹槍たけやりに打ち込んで来ている。いくら真剣とはいえ、やり方はいくらでもあるだろう。しかし、それすらもしないほどの相手だという事なのだ。


 次第しだいに腹が立ってきた――。


しまいか?――貴女きじょの実力はこんなのもか?やはり見立みたて違いか」


「馬鹿にするなー!」


 すべ無くもてあそばれていた私だったが、怒りにまかせ今度は自ら打って出た。


 技も、作戦も無い。今までやって来た事と言えば、案山子かかしに突き刺す事くらい。


 そんな事が役に立たないことは百も承知しょうち。しかし、私はこれしか出来ない。


 私は思いっきり彼女に向け、竹槍を突き立てた。


「おーーえす!」


 ハッ!――ゴク…。


 刹那せつな――私の突きなどあしらわれ、薙刀なぎなたさきが私の喉元のどもとに触れる寸前すんぜんの所で止まっていた。


 いつの間にか、持っていた竹槍も何処どこかへ行ってしまっていた。


 もう、どうとでもなれ――。


「――切れ!いっその事、私を切ってみろ!」


「ほざけ――」


 と言いながら、彼女は笑っていた。


 その所為せいだろう、今まで見せなかったすきが生まれた。かたも無く、彼女は無造作むぞうさに薙刀を振り上げたのだった。


 切る気は無いだろうが、私自身をねらって振り降ろす気だろう。そう思った。


 だから、私は――。


 第六感だいろっかんはたらいた私の身体は、無自覚にも竹槍を拾い上げ、応戦おうせんかまえを取った。


 その瞬間――私は、私の体が、自分の身体と思えない程の何かを感じた。


 ―――!


 気が付くと薙刀は、彼女のはるか後方へ飛ばされ、床に突き刺さっている。そして、私の視界のはしに映ったのは、銀にも似た金色の髪であった。


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