黙秘
動き出した自動車の中、運転手の彼女に私達は聞きたい事が多々あった。
『一体何処へ行くのか?』『私達に何の用があるのか?』『そもそも何故私達を知っているのか?』
その一方的な質問は、『申し訳ございません。私からお話出来る事はございません――』の一点張りで、彼女からは何一つ答えが返って来なかった。
――一体何処へ向かうのか?
質問する事が無駄だと分かり、その後の車内では無言が続いた。
私もお嬢とは話さず、窓ガラスには見慣れた景色が流れ、それを眺めるしかなかった。
考えてみたら電車やバスは乗った事が有るが、自動車は初めてで、その感動もこの密室では無言の時が気まずい空気を作り、とても味わえるものではなかった。
ッキー。――快調に飛ばしていた自動車であったが何の変哲もない場所で停まってしまった。
「到着致しました――」
錬女から乗った自動車であったが、まだ二十分も経っておらず、その場所へ到着した。
初めは気が付かなかったが、窓から見えるその場所には覚えがあり、知るそれの反対側であった。
「申し訳ありません。私は戸をお開けする事が出来ないのです。ご自身でお降り下さい」
そう言われ、私とお嬢は自分で戸を開け自動車から降りた――それが普通ではないのか?
「本当にここが目的地なの?――」
何か作為的である様な、逆に言えば運命的である。
私達が連れて来られた場所は、ついこの間『魔法の竹』を探しに来て、夫人救出事件の日にも訪れ、サッちゃんと別れた竹林。その山だった。




