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かぐや舞う  作者: 合川明日
♯ 2
61/70

夫人故に

 ――夫人ふじん救出きゅうしゅつ事件じけん舞子まいこに学校前にせられた日から数日がぎ、前回の竹槍たけやり訓練くんれんから一ヶ月がった。


 月に一度の合同ごうどう竹槍訓練、それが今日だった。


 『しら百合ゆり城南じょうなん高等こうとう女学校じょがっこう通称つうしょう百合女ゆりじょ)』の校庭こうていで行われるそれは、憲兵けんぺいじき々におもむき、きた戯言たわごとえん々と演説えんぜつし、時代じだい錯誤さくご精神論せいしんろんで私達に竹槍をるわせるものだった。


 しかし女学生達のあいだではその事よりも、その後の事について憶測おくそくった。


 竹槍訓練後のチョコレートをけた、『錬女れんじょ』と『百合女』の決闘けっとう――それはたしておこなうのか?実は二人は仲が良いのか?二人は夫人と決闘を行うのではないかなど


 夫人救出事件では、『非国民ひこくみんり』にった夫人を、『ひめ』と『おじょう』が助け出そうとした――しかし真相しんそうは夫人が二人をおとしようとしており、現場げんばには多く女学生もり、その一部始終いちぶしじゅう目撃もくげきされ、夫人の本性ほんしょう露呈ろていした。


 その場の雰囲気ふんいき好奇心こうきしんとは言え、女学生達もその事に加担かたんした事を気にしており、夫人をめる者はなかった。


 女学生達の間でも意見いけん二分にぶんし、二人の正体しょうたいを知ろうとした夫人のやり方をこのましくない者も多く、うわさを聞いた『姫』や『お嬢』をひいきにしている者達から反感はんかんった。


 しかし、チョコレートのちから絶大ぜつだいで、夫人のおこなった散蒔ばらまきとも呼べるそれは女学生達の心をもどしたのだった。


 とは言え、夫人はチョコレートだけで『夫人』とばれていたわけではない。


 その容姿ようし性格せいかく、それは事件の真相とは程遠ほどとおく、私は今でもしんじられなかった。


 それに、夫人にたいする同情どうじょうも多く、それによってゆがめられた真実しんじつは夫人が被害者ひがいしゃの様にあつかった――その所為せいもあってか、夫人の人気は変わらずのものだった。



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