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かぐや舞う  作者: 合川明日
♯ 1 『かぐや』と『姫』
6/70

一本

 私には、『危険きけん回避かいひ能力のうりょく』とでもいうような、『第六感だいろっかん』と呼べるものがあった。


 危険を感じると体が勝手に動いてしまい、それを回避する。無自覚ではあったが、そうとしか言い様がなかった。


 危険というものは、日々生きて行く中で、そんなにも起こりるものではない。しかし、今までの経験とこの状況で私は確信した。この力の存在を。


 この能力の所為せいだろう、私は立ち上がり、竹槍たけやりかまえていたのだから。


 はっきり言って私に勝ち目は無かった。なのにどうだろう、私の身体からだは、私は戦おうとしている。今直いますぐ竹槍を離し、ひたいの一つでも床にこすり付ければ済むものの。


 第六感がそうさせたのだろう――彼女相手には立ち向かうしか身を守るすべがないと。


 もしくは、別の何かが――。


 薙刀なぎなたと槍の戦いではあったが、私の槍は竹製で、槍ではない。それにくらべ彼女の薙刀は真剣。それに彼女のかまえは何か、特別に威圧いあつ感があった。


「行くぞ――おーえす!」


 スン――。カラン…!


 気が付くと、私が刀の様に、無造作むぞうさに持っていた竹槍は、真ん中からぷたつに成っていた。


「あ、あれ?――」


 その軌道きどうすら見えなかった彼女の薙刀は、袈裟けさえがき振り降ろされていた。


「次!――」


 その言葉にハッとした私は、彼女にうながされるまま、二本目の竹槍を拾っていた。


 おかしい、一体何が起こったのか。つい先刻せんこく自慢じまんげにしていたあれは何処どこへ――。


 竹槍を槍らしく持ってはみたものの、次の瞬間には手元から消えていた。


 はらい、一文字いちもんじ、突き、小手――竹槍ははじき飛ばされ、切りきざまれ、見る見るその数を減らしていった。


 そして、ようやく気が付いた。手を抜かれている事に。

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