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かぐや舞う  作者: 合川明日
♯ 2
56/70

中毒

 『ニンジン』を使った『非国民ひこくみんり』が失敗に終わり、意気いき消沈しょうちんした夫人ふじんであったが、私のもとにもその黒い魅惑みわく甘味かんみは夫人から横流よこながしされてきた。


 甘く、人をまどわす黒い悪魔あくま。『チョコレート』。


 夫人との一件いっけんがあったにもかかわらず、私は誘惑ゆうわくことわる事が出来ず、それを口にふくんだ――。


 それは何時いつになく甘く、その味とは裏腹うらはらにほろ苦いひとときをもたらした。


 ――平塚ひらつか職業しょくぎょう訓練くんれん女子じょし学校がっこう通称つうしょう錬女れんじょ)。私の通う学校。


 朝には話題にも上がっていたが、週末しゅうまつ騒動そうどうなどすでに忘れられたか、何事なにごとも無く何時も通りの日常だった。


 授業もほど々に学徒がくと動員どういん兵器へいきづくりの日常。


 錬女には施設しせつ道具どうぐそろっており、さながら軍需ぐんじゅ工場こうじょうよう風景ふうけいだった。


 それが私の日常――だった。


 夫人救出(きゅうしゅつ)騒動そうどうの一件以来『非国民狩り』にう女学生が増えていた――それは私達、もといひめ』と『おじょう』の行動こうどうにより、『ギブミー・チョコレート』ととなえる者が心なしか増えだしたと言う事だった。


 何に感化かんかされたのか、洋服を着だしたり、『シンディ』を大声で歌いだしたり、仕舞しまいには金髪にしだす女学生まで出始ではじめていた。


 しかしそれは全て非国民狩りの対象たいしょうであり、つかまった女学生達は強制きょうせい社会しゃかい奉仕ほうしり出された。


 私は『予科練よかれん』を連想れんそうしていた所為せいか、その処罰しょばつはとてもかるく感じた。


 やはり『予科練』というのはうわさでしかなかったのか――。


 その所為もあってか、非国民狩りへの恐怖きょうふは社会奉仕程度(ていど)と、国民的こくみんてきな女学生の噂をたまに聞いた。


 それでも私のまわりには、実際じっさいにそんな事をする者は居なかった――ただ一人ひとりのぞいて。



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