危機感
――私の応戦により始まった戦いは、集まっていた女学生達を熱狂させた。
それは私達への応援なのか、『姫』と『お嬢』の正体への期待なのか知る余地は無い。
夫人が威張るだけの事はある――この『ニンジン』の性能は、私達のそれを遥かに超えていた。
二人掛かりだというのに全く歯が立たない――。
狭い路地に、護送車を避ける様に移動し、『姫』は下から、『お嬢』は上から仕掛けた。
流石というか、武道経験者であるお嬢は、向上した身体能力を最大限に活かし、塀へ柵へ縦横無尽に駆け巡り、竹槍を薙刀の様に扱い攻撃していた。
私に至っては、彼女の邪魔にならぬ様、隙を見て竹槍を突き立てた。
私にはそれしか出来ず、何の心得も無い私では精一杯であった。
元々、私達の『第七感』は自らを守る為のもの。攻撃は不得意である。
――しかし『ニンジン』は、そんなお嬢の攻撃を躱し続け、姫の攻撃など軽くあしらった。
それどころか、『ニンジン』の攻撃にはまるで避けらず、防ぐことで手一杯だった。
私の攻撃など掠りもしなかったあのお嬢ですら、その攻撃を受ける事しか出来ずに。
おかしい――これ程の相手、攻撃に対して、全くと言っていい程『第七感』が発動しない。
一体何故なのか。それが意味する事は――このニンジンが私達にとって、全く危険性が無いという事でしかなかった。
私達を捕まえるだけなのだろうから、傷付けるつもりが無いのか、その所為なのか――。
その事に気付き、自らに危機感が無い事を感じた――何故なら『ニンジン』の、彼女の攻撃は私達には効いていないのだから。




