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かぐや舞う  作者: 合川明日
♯ 1 『かぐや』と『姫』
5/70

舞子

 いつの間にかにぎられていた竹槍たけやりは、彼女がろした薙刀なぎなた頭上ずじょうで止めていた。


 咄嗟とっさにその場にらばっていた竹槍を私はつかんでいたのだった。


 とは言え、真剣しんけんの薙刀を竹槍ごときがふせげるはずも無く、彼女は最初から寸止すんどめでもするつもりだったのだろう。


「私の一撃を防いだか――それなりの心得こころえはある様だな。立ち上がり、私と戦え。貴女きじょ興味きょうみがわいた」


 後から聞いた話によると、彼女の名前は『西條さいじょう舞子まいこ』。二学年で、私より一つ上。この『百合女ゆりじょ』では少し有名な存在だった。


 彼女の家は薙刀の名家めいかで、『東の西條さいじょう、西の東條とうじょう』と言われるほど有名だった。


 勿論もちろん彼女もまた薙刀の腕が立ち、師範しはんである父親をもしのぐとも言われていた。


 さらに精悍せいかん顔立かおだちに、そのはかま姿は、女学生達からの注目のまとであった。


 彼女の人気は、百合女で流行りゅうこうしていた海外の祭りを真似まね、相手にチョコレートをおく行為こういにおいて、そのもらった数をきそわれる程であった。


 さすがは女学校、随分ずいぶん勿体もったい無い事をしている――ただ、その祭り自体は面白い。やはり海外はやる事が違う。私も何時いつかか外へ――。


 ――私と会ったあの日より少し前から、学内でのチョコレートの盗難とうなん相次あいつぎ、道場でも同様な被害ひがいが出ていた。


 彼女も被害者ひがいしゃらしく、犯人を血眼ちまなこになって探していたらしい。


 そして、学内の見回りをったのが彼女だった。


 貰ったチョコレートでも盗まれたのだろう、その女学生達のためか、将又はたまた自分のためか。あの日も同様に見回っていたのだ。


 竹槍を持っていた私を、犯人に間違まちがほど必死ひっしに。


「いいか?次は止めないぞ――」

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