そういえば
いつの間にか私達と護送車は女学生達に取り囲まれていた。しかし、こうなっては夫人を連れて行く事は出来ないだろう。
「さぁ、夫人を返してもらおうか!――」
動力を切った護送車は余りにも静かなものだった。まるでこの状況に動じていない様な。
故に何が起きるか解らず、固唾を呑んだ。
――開いたのは護送車後方の扉、私に向かいの扉だった。
その扉は徐々に開かれ、全員の視線が注がれた。一体誰が降りて来るのか――。
そして、降りて来た人物に私達は、身構えていた分呆気にとられてしまった。
しかしそこには、いつもと変わらず身だしなみを整え、巻き髪が優雅な夫人の姿があった。
夫人は拘束もされておらず、唯一人降りて来た。
「夫人――」
パチ…パチパチ――安堵からか、自然と拍手が起き、次第にそれはその場に居た者全てに移った。
「皆様、わたくしめの為お集まり頂き感謝申し上げますわ」
「夫人」「夫人!」「夫人!!」
「――貴女方が御『姫』様と、『お嬢』様ね?噂はかねがね…」
夫人と『姫』は初めて会ったのか――そういえば、夫人が決闘を見に来た事は無かった様な。
いや待てよ。そもそも夫人を『竹槍訓練』で見た事が無かった。彼女はまさか――。
「は、初めまして――」
「……」
「お会い出来て光栄ですわ――ところで、貴女方の正体を誰も知らないというのは本当でして?」
「いや~、そうなのかな~?」
「……」
「と、いうことで――助けに来て頂いて誠に申し訳ございませんが、この場を借りて、貴女方の正体を暴かせて貰いますわ」
「えっ!?」
「……」
「皆様もお二人が何処の何方か知りたくはなくて?どうです?」
「――何を言って…」
「……」
「わたくし、わたくし以上に目立つ存在を許せないの――」
パチ…パチパチ――。




