所以
――――。
――とうとう『おチョコ夫人』を護送する日がやって来てしまった。
『魔法の竹槍』を見つける事が出来たものの、結局作戦等は決まらず、非国民代表等私一人には以ての外であった。
唯夫人を助ける為だけに――。
問題は一体何時何処で変身するかだ。
憲兵署には女学生が詰め掛けるだろうし、家から変身して行って、誰かに見られたら――。
それに、どうせならカッコ良く登場したい。非国民代表には成りたくはないが、『姫』はそれなりに人気もある。余り無様な姿は見せられない。
でも、彼女の言葉では無いが、その場で変身して口上でも言えたなら――。
浅はかだが登場の仕方を考え、挙句――少し離れた場所から歩き、遅れて現れ注目を浴び、護送車の前を立ち塞ぐ。
侍の様に竹槍を腰に挿し――。
渋い。単純だが渋い。これはいける。髪も結えば――。
そうと決まれば、私の心は踊り、最早成功したも同然だった。
『準備、準備。っと――』
――魔法の竹槍での変身は、直接竹に触れなければならない。逆に言えば触れさえしなければ変身する事は無い。
その為、魔法の竹槍を持ち運ぶ際は、竹刀を入れる袋、『竹刀袋』に入れて持ち歩いた。
しかし、万が一に面前で竹槍を離してしまった場合、『姫』の正体が私だと知られてしまう。
そうならない為、私は考えた。肌身離さず竹を身に着けられないかと。
そして編み出した。竹の切れ端を首から下げる方法を。
魔法の竹さえ身に着けていれば――。
――しかし、それは失敗した。それでは変身は出来なかったのだ。
そして気が付いたのだ。それは竹が、竹槍である必要に。
ある一定の数節が無いと変身出来ない事、その数が竹槍だと丁度良い事に。
竹槍でしか変身出来ない――それが竹槍である理由だった。




