合図
ウーーーー!!――サイレンの音。
灯火管制の合図。夜が、闇が近付いた証。
夕焼けが私達を包み、サイレンが鳴り響いた。
『電力消費規制』――。
鎖国からのエネルギー不足は事重大で、電力の使用も『ぜいたくは敵――』と制限がかけられ、不要不急の電力使用は禁止されていた。
それは夜も例外ではなく、更に電力使用は敵に目立つという理由で、自らの命を守る為とは言ってはいるが、必要最低限に規制されていた。
特に夜の電力使用は厳しく取り締まられ、それは『非国民狩り』の対象でもあった――。
――サイレンの音は次第に小さく、そして遠くへ。しかし、私の中ではまだ鳴り響いていた。
「過去に決着をつける。時間が無い。貴女が『姫』と成れぬのなら、貴女が――」
その感情は電流の様に私の身体を駆け巡り、今までの合図の比ではなかった。
故に、こんな時に――走馬灯だろうか…。
彼女は、西條舞子は、その竹槍を私に向け突き立てた。
「――死ねーーー!!」
――そうだ、思い出した。父が創った新たな竹の名前を――
『――お父さん』
その竹の名前は――。
「――『日進月歩』ーー!!」
――その瞬間、地中に眠っていた筍が顔を出し、一瞬の中に青竹に成長した。
私はそれを見た訳でなく、その時には気が付かなかったが、まるで私の声に反応した様に――。
そして、その竹は既に竹槍の形に成っていた。
何時の間にか立ち上がっていた私は、それを無意識に掴み、彼女の一撃を防ぎ弾いていた――。
『姫』の姿に成って――。
「――かぐやーー!!」
「――舞子ーー!!」




