作戦の為に
「私、やるわ――あれだけ期待されているのだもの、夫人が居ようが居まいが、憲兵署へ行かなくてわ」
「――昨日、憲兵署へ行った。そしたら、ご丁寧に張り紙が貼ってあった。護送について、あの噂通りの事が書いてあった。まず、間違いないだろう。夫人は憲兵署に居る。そして、土曜に護送される」
「………」
「私達がやるしかない――チョコレートの為にも」
「……えっ?」
「――自由の為に//」
彼女、西條舞子の計画では、多くの女学生が野次馬に来る事も重要だった。
華麗に夫人を救い出し、その存在を確固たるものにしたいらしい。
それが非国民代表なのだと。
つまり、更に人気が欲しいのだった。
しかしそれ自体は、こちらが何かをしなくともきっと大勢の女学生が駆け付けるだろう。夫人の為に――。
それに作戦といっても、こそこそする事を嫌う彼女は、堂々と正面から行くつもりで、有って無い様なものだった。
何か準備が有るとすれば、それは魔法の竹槍を百合女から持って来なくてはならない事だった。
何せ月に一度の竹槍訓練に、その後の決闘でしか使ったことが無かったので、何処かへ持ち出した事が無かった。
そのおかげで秘密は守られ、私達がこれまで静かに暮らせていたのだが――。
果たして誰にも見つからず魔法の竹槍を持ち出すなんて事が出来るのだろうか。
触っただけで変身してしまい、女学生に見つかれば忽ち騒ぎになってしまう。
女学生達は『姫』と『お嬢』の正体を知りたがっているのだから――。




