彼女達なら
『夫人を今週末の土曜、朝10時に軍事施設へ護送すると。そして――彼女を助けたければ、助け出してみろと。彼女を連れて行けたら彼女を解放する。何をしても構わない。竹槍だろうと、拳銃だろうと持って来い』と。
西條舞子はこの噂、基挑戦状を本当だと信じ、助けに行くつもりだった――。
「こんなお誂え向きな事があるか――私達が非国民代表に成る第一歩として、注目を集める為には最高の舞台だ!」
確かに、こんなにも都合よく助け出してくれと言わんばかりの状況は、私達、主に彼女が求めていたものだろう。
それに、魔法の竹槍さえあれば、それが不可能じゃない。
私も何時しか乗り気になっていた。
しかし何だろう、この不安は――。
流石に、何の確証も無しには作戦は立てられず、まだ時間があるので、その噂の真偽を確かめようと提案し、その日彼女には帰ってもらった。
ところが次の日、学校へ行くとその噂で持切りだった。
夫人が護送されると。助け出せば見逃すと、どんな手を使ってもいいと。
そして、夫人を助けに『姫』と『お嬢』が行くと――
「勿論姫は行くわ。あんなにもお強いのだもの。きっと夫人を助け出してくれるわ」
「マサ、その噂誰から聞いたの?」
「さぁ、皆さんしているわ。朝からずっと」
誰がこんな噂を――まさか、西條舞子が?
噂というか、これは願望だ――姫とお嬢に助け出してもらいたい。行かない訳が無い。何故なら『姫』と『お嬢』だから、と。
終いには、あれだけチョコレートを賭けていたのだ、行かない訳は無い――とまで言われていた。賭けていたのは私達じゃないのに。
この雰囲気は、この空気は何が何でも行かざる負えないものであった――。




